「日本の介護施設でプロとして長く働きたいけれど、ビザの手続きが難しそうで不安……」
「技能実習や特定技能から『介護』の在留資格に変更するには、どんな条件があるのだろう?」
日本の介護現場で活躍したい外国人の方や、優秀な外国人スタッフを正社員として迎え入れたい施設管理者の皆様から、このようなご相談を日々多くいただきます。
2017年に新設された在留資格「介護」(いわゆる介護ビザ)は、日本の国家資格である「介護福祉士」を取得した外国人のための就労ビザです。このビザを取得すれば、日本で回数制限なく長期間働くことができ、将来的に家族を日本に呼び寄せることも可能になります。
しかし、法律や審査の基準は一見すると非常に複雑で、「自分ビザが取れるのかな?」と悩んでしまう方も少なくありません。
そこで今回は、国際業務専門の行政書士が、在留資格「介護」の条件や申請の流れ、失敗しないための注意点まで、できるだけ分かりやすく徹底解説します!この記事を読めば、ビザ取得までの道のりがすっきりと見えてくるはずです。
在留資格「介護」とは?他のビザとの違いを知ろう
日本で外国人が介護の仕事をするためのビザには、いくつかの種類があります。まずは、今回解説する在留資格「介護」がどのようなものなのか、他のビザ(特定技能や技能実習など)と何が違うのかを整理しておきましょう。
在留資格「介護」の概要
在留資格「介護」は、日本の国家資格である「介護福祉士」の資格を持っている人だけが取得できる本格的なプロ向けの就労ビザです。
入管法(出入国管理及び難民認定法)では、以下のように定められています。
「本邦の公私の機関との契約に基づいて介護福祉士の資格を有する者が介護又は介護の指導を行う業務に従事する活動」
少し難しい表現ですが、簡単に言うと「日本の病院や介護施設などと雇用契約を結び、介護福祉士として介護の仕事をしたり、部下の指導をしたりする活動」のことです。
「介護」ビザの最大の特徴とメリット
他のビザ(技能実習や特定技能1号など)と比べて、在留資格「介護」には非常に手厚いメリットがあります。
- 在留期間の更新に上限がない(ずっと日本で働ける)
特定技能1号や技能実習は日本にいられる期間に上限(最長5年など)がありますが、「介護」ビザは要件を満たし、しっかり更新の手続きをしていけば、10年でも20年でも日本で働き続けることができます。 - 家族を日本に呼び寄せられる
本国にいる配偶者(夫・妻)や子どもを日本に呼び寄せて、一緒に暮らすことができます(「家族滞在」というビザが該当します)。これは特定技能1号や技能実習では認められていない大きなメリットです。 - 働く場所に柔軟性がある(訪問介護も可能)
技能実習や特定技能では原則として認められていない「訪問介護(利用者の自宅に行って介護する仕事)」も、在留資格「介護」であれば行うことができます。
【比較表】介護で働ける4つのビザ
理解を深めるために、厚生労働省などの資料をベースに主要な4つの制度を比較してみましょう。

このように、在留資格「介護」は、日本で介護のプロとしてキャリアを築き、長く安定して暮らしたい外国人の方にとって、まさに「目指すべきゴール」と言えるビザなのです。
「介護」ビザを取得するための4つのルート
では、どうすれば在留資格「介護」を取得できるのでしょうか? 条件はシンプルで、「日本の介護福祉士の国家資格を取得して登録すること」です。この資格を取るためのルートは、大きく分けて以下の4つがあります。

それぞれのルートについて、詳しく見ていきましょう。
① 養成施設ルート(留学生から変更)
日本の大学や専門学校などの「介護福祉士養成施設」(2年以上)を卒業して資格を取る方法です。
具体的なステップ
- 外国から「留学」のビザで来日する
- 日本語学校を卒業後、国が指定した介護の専門学校や大学に2年以上通う
- 卒業して、介護福祉士の国家試験を受験し、合格・登録する
- 介護施設への就職が決まったら、「留学」から「介護」へ在留資格変更許可申請を行う
② 実務経験ルート(現場で働きながらキャリアアップ)
すでに日本で「技能実習」や「特定技能1号」として介護の現場で働いている方が、働きながら国家資格を取るルートです。現在、非常に関心が高まっているルートでもあります。
- 必要な条件
- 介護の現場での実務経験が3年以上あること
- 「実務者研修」(450時間以上、6か月以上の研修)を修了していること
- 介護福祉士国家試験に合格すること
- 具体的な例(特定技能からの変更ケース)
特定技能1号のビザで日本の老人ホームで4年間一生懸命働いてきたAさん。働きながら「実務者研修」のスクールに通い、介護福祉士の国家試験を受験して見事に合格しました。
合格後、介護福祉士として登録を済ませ、ビザを「特定技能1号」から在留資格「介護」に変更することで、5年の期限を気にせず、日本でずっと働けるようになります。
③ 福祉系高校ルート
日本の福祉系高等学校(国が指定した高校)を卒業し、国家試験に合格して介護福祉士になるルートです。日本に長く住んでいる外国人(家族滞在や定住者などで高校に通っている方など)が利用することが多いルートです。
④ EPAルート
日本と経済連携協定(EPA)を結んでいるインドネシア、フィリピン、ベトナムの3か国から、「特定活動」というビザで来日した介護福祉士候補者が対象です。 病院や介護施設で研修・就労をしながら国家試験を目指し、合格した後に在留資格「介護」へ変更することができます。
入管審査で厳しくチェックされる「2つの基本要件」
介護福祉士の資格を持っていれば、誰でも自動的にビザがもらえるわけではありません。入国管理局(出入国在留管理局)の審査では、主に次の2つの大きな要件(基準)が厳しくチェックされます。
. 職務内容の要件:本当に介護福祉士としての専門的な仕事をするか?
. 報酬の要件:日本人と同等以上の給料をもらっているか?
要件①:職務内容の妥当性(本当に専門的な仕事をするか?)
「介護」ビザは、専門的・技術的な知識を持ったプロに与えられる就労ビザです。そのため、勤務先での仕事内容が「介護福祉士としての専門業務」である必要があります。

【注意!】
例えば、勤務先での実態が「毎日シーツの洗濯と調理場の皿洗い、施設の床掃除だけで、身体介護や介護計画の作成には一切関わっていない」という場合、入管から「介護福祉士の専門性を発揮する仕事ではない」と判断され、ビザは不許可になってしまいます。もちろん、介護業務の一環として掃除や洗濯を行うのは問題ありませんが、それらが「メイン(専ら)」になってはいけません。
要件②:日本人と同等額以上の報酬(給料の要件)
外国人だからという理由で、不当に低い給料で働かせることは法律で禁止されています。
- 基準 :「日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けること」
これは、「その施設で同じくらいのキャリアを持つ日本人の介護福祉士」と同じか、それ以上の給料を支給しなければならないという意味です。 もし、その施設に比較できる日本人の先輩がいない場合は、同じ地域の介護福祉士の平均的な給料水準と比較して判断されます。
給料の内訳を証明するため、雇用契約書や賃金規程などを入管に提出し、基本給や資格手当(介護福祉士手当など)が適正に設定されているかを細かく審査されます。
「介護」ビザ申請の具体的な手続きと流れ
ここでは、最も一般的なケースである「日本国内で他のビザ(留学や特定技能など)から『介護』ビザへ変更する手続き」の流れを解説します。
全体の流れは、以下の4つのステップに進みます。

主な必要書類一覧
申請のために集める資料は多岐にわたります。代表的な書類をまとめました。
| 提出者 | 必要書類 | 概要・目的 |
|---|---|---|
| 申請人本人 | 在留資格変更許可申請書 | 本人の情報や申請内容を記載 |
| 証明写真(縦4cm×横3cm) | 6か月以内に撮影されたもの | |
| パスポート・在留カード | 窓口で提示します | |
| 介護福祉士登録証の写し | 国家資格を持っていることの証明 | |
| 養成施設の卒業証明書(写し可) | 養成施設ルートの場合に提出 | |
| 介護施設(企業) | 雇用契約書または労働条件通知書の写し | ◎必須 給料や仕事内容、勤務時間を証明 |
| 法人登記簿謄本 (履歴事項全部証明書) | △場合により提出 勤務先が実在する法人か確認 | |
| 決算報告書(直近1年分など) | △場合により提出 企業の財務状態、経営の安定性を確認 | |
| 施設のパンフレットや概要書 | ◎必須 どのような施設かを説明する資料 |
※企業の規模(カテゴリー)や申請人のルートによって、追加の書類(住民税の課税・納税証明書など)が必要になる場合があります。
要注意!不許可やトラブルを避けるための3つのポイント
実務上、在留資格「介護」の申請でつまずきやすい、あるいは不許可の原因になりやすい3つのポイントがあります。これらは事前に必ず確認しておきましょう。
① 要介護者本人やその家族との「直接契約」はNG!
入管法上の条件に「本邦の公私の機関との契約に基づいて」という規定があります。 ここでいう「機関」とは、日本の国営・公営・私営の病院や、介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)、あるいは介護サービスを運営する民間企業などを指します。
- 認められない例
- 介護が必要なおじいちゃん、おばあちゃん個人(要介護者本人)と直接契約して、その人の家でお世話をする。
- その家族(個人)から直接お給料をもらってプライベートヘルパーとして働く。
このような「個人間の契約」での活動は、いくら介護福祉士の資格を持っていても、在留資格「介護」の対象外となってしまいます。必ず、法人(介護施設や訪問介護事業所など)に就職・所属して、そこから給料をもらう形態にしてください。
② 所属機関の変更(転職)の際は14日以内に届出を!
無事に「介護」ビザを取得した後、もし別の介護施設に転職した場合は、「所属機関に関する届出」という手続きを転職した日から14日以内にインターネットや郵送で入管に行う必要があります。
これを忘れたまま放置してしまうと、次回のビザ更新の際に「法律を守っていない」とみなされ、最悪の場合、更新が不許可になったり在留期間が短縮されたりするペナルティを受ける可能性がありますので、転職の際は絶対に忘れないようにしましょう。
③ 資格外活動のオーバーワーク(過去の違反)がないか?
特に「留学」ビザから変更する方に多い注意点です。留学生は原則として週28時間以内のアルバイトが(資格外活動許可を得ることで)認められていますが、過去にこの「週28時間」を超えて働いていた(オーバーワーク)履歴があると、たとえ国家試験に合格していても、ビザの変更申請の際に不許可になる可能性が非常に高くなります。
審査官は、申請人の銀行口座の履歴や課税証明書から、過去のアルバイト収入を厳しくチェックしています。日頃から法律をしっかりと守って生活することが大切です。
国家試験合格後、登録証が届く前でも働ける?「特定活動」の特例措置
「介護福祉士の国家試験には合格したけれど、4月1日の入社日までに『介護福祉士登録証』が手元に届かない!」 実務上、このようなケースが非常によく発生します。
国家試験の合格発表は例年3月下旬に行われるため、そこから登録の手続きをしても、実際に正式な「登録証」が自宅に届くのは4月中旬〜5月になってしまうことが多いのです。
ビザの変更申請には「登録証の写し」が必要なため、これでは4月1日の入社日に「介護」ビザの申請が間に合いません。しかし、「ビザがないし働けないのが当然」とすべての外国人に言われてしまうと雇用側も困ってしまいます。
そこで、入国管理局では以下のような親切な特例措置(救済措置)を設けています。
【登録証が届くまでの「特定活動」ビザ】
卒業証明書や合格通知書(受験票の写しなど)を提出することで、正式な登録証が届くまでの期間、「特定活動(告示外特定活動)」というビザへの変更を認めてもらうことができます。
この特定活動ビザを使えば、4月1日から介護施設等で正社員(介護スタッフ)としてすぐに働き始めることが可能です。
<手続きの手順>
- 3月中に、養成施設の卒業証明書や雇用契約書を添えて、まずは「特定活動」への変更申請をします。
- 4月から特定活動ビザの状態で、介護の仕事をスタートします。
- 4月中旬以降、自宅に「介護福祉士登録証」が届いたら、その写しを入管に追加提出(追完)します。
- 入管での審査が終わり、無事に本番の在留資格「介護」へとビザが切り替わります。
この特例措置があるおかげで、留学生や実務経験ルートの方も、ブランクを空けることなくスムーズに就労を開始することができます。手続きに不安がある場合は、事前にスケジュールを含めて専門家に確認することをおすすめします。
まとめ:在留資格「介護」の申請は、WILL行政書士事務所にお任せください!
在留資格「介護」は、日本で長く安定して暮らしたい外国人の方にとっても、優秀な正社員を確保したい介護施設様にとっても、非常に価値のある重要な就労ビザです。更新の上限がなく、家族を呼べるという素晴らしいメリットがある反面、入管の審査では仕事内容の専門性や給料の水準、過去の在留状況などが厳格にチェックされます。
「必要書類が多すぎて、自分たちだけで準備するのは時間が足りない……」
「今回のケースで本当に許可が下りるか、事前にプロに診断してほしい」
「4月1日からの勤務に間に合うよう、特例のスケジュールを組んでほしい」
そんな時は、ぜひ一度、WILL行政書士事務所へご相談ください。
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