【外国料理のコックさん】在留資格「技能」ビザの取得要件と申請の流れ・注意点を徹底解説!

この記事はこんな人におすすめ!

  • 外国の優秀な調理師(コック)を日本に呼び寄せたい飲食店経営者、管理者の方
  • 調理師(コック)として日本で働きたい外国人の方

飲食店を経営されているオーナー様、あるいは日本で専門的な技能を活かして働きたいと考えている外国人の皆様、こんにちは。

「本場から腕利きのコックを呼び寄せて、お店の看板メニューを作りたい!」 「長年培った外国料理の調理スキルを活かして、日本で活躍したい!」

そんな希望を叶えるために必要となるのが、在留資格「技能」ビザです。
しかし、いざ手続きをしようと思っても、「どんな人が対象になるの?」「10年の実務経験が必要って本当?」「どのような書類を準備すれば審査に通るの?」と、多くの疑問や不安を抱えている方も少なくないでしょう。 特に最近は、出入国在留管理局(入管)の審査が厳格化しており、少しの準備不足が原因で不許可になってしまうケースもあります。

そこで本記事では、国際業務専門の行政書士が、在留資格「技能」ビザの取得要件から、申請準備、取得までの具体的な流れ、そして実務上の注意点までを、専門知識がない方にもわかりやすく、具体例を交えながら徹底的に解説します。 この記事を読めば、「技能」ビザ取得のための道筋がはっきりと見え、安心して準備を進めることができるようになります。ぜひ最後までお読みいただき、スムーズなビザ取得にお役立てください。

目次

そもそも、在留資格「技能」とはどのようなビザなのでしょうか。 入管法(出入国管理及び難民認定法)によれば、「技能」ビザの在留資格該当性は、「本邦の公私の機関との契約に基づいて行う産業上の特殊な分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する活動」と定義されています。

少し硬い言葉ですが、かみ砕いて説明すると、「長年の経験と修練によって身につけた、日本国内ではなかなか代わりがいないような特別な技術(職人技)を持つ外国人が、日本の企業やお店と雇用契約を結んで働くためのビザ」ということです。

ここで重要なのは、このビザが「特別な技能、判断等を必要としない機械的な作業である単純労働」とは明確に区別されている点です。つまり、誰でもすぐに覚えられるような簡単な作業や、マニュアル通りの単純作業を目的とした就労では、「技能」ビザを取得することはできません。個人が自己の経験の集積によって有する能力、つまり「熟練度」が厳しく問われることになります。

では、具体的にどのような職種が対象となるのでしょうか。産業上の特殊な分野として、以下のような業務が挙げられています。

  • 外国料理の調理(中華料理、フランス料理、インド料理など)
  • 外国で考案された工法による住宅の建築(外国に特有の建築・土木技術)
  • 宝石、貴金属、毛皮の加工
  • 動物の調教
  • 外国に特有のガラス製品や絨毯等の製作・修理
  • 定期便の航空機の操縦(パイロット)
  • スポーツの指導
  • ワインの鑑定(ソムリエ)

この中で、日本において圧倒的に申請数が多く、よく検索されているのが「外国料理の調理師(コック)」です。街で見かける本格的なインドカレー店や、高級フレンチレストラン、本場の中華料理店で腕を振るっている外国人シェフの多くが、この「技能」ビザを取得して日本で働いています。

本記事では、特に需要が高く、よくご相談をいただく「外国料理の調理師」にフォーカスを当てて、さらに詳しく解説していきます。

外国料理の調理師として「技能」ビザを取得し、日本に招聘(呼び寄せ)するためには、クリアしなければならない厳格な基準(上陸許可基準)が設けられています。具体的には、大きく分けて以下の3つの要件を満たす必要があります。

要件①:10年以上の実務経験があること(教育機関での専攻期間を含む)

最もハードルが高いと言われるのが、実務経験の長さです。原則として、「当該技能について10年以上の実務経験」を有していることが求められます。 この10年という期間は、見習い期間を含めることができるのか、何歳から数えるのかといった疑問がよく寄せられますが、数ヶ月不足しているだけでも不許可になる可能性があるため、正確に10年以上が必要と考えられます。

ただし、嬉しい特例もあります。この「10年以上」の中には、「外国の教育機関において当該料理の調理又は食品の製造に係る科目を専攻した期間」を含めることが可能です。 例えば、「イタリアの料理専門学校(2年制)を卒業した後、実際のレストランで調理師として8年間勤務した」というイタリア人シェフの場合、専門学校での2年間を通算して計算できるため、合計で10年の実務経験を満たすと判断されます。

また、タイ料理の調理師に関しては、「経済上の連携に関する日本国とタイ王国との間の協定」により、特例として「5年以上の実務経験」で要件を満たすことができる場合があります。このように、国や協定によって年数が短縮されるケースもあるため、最新の法令を確認することが重要です。

要件②:提供する料理が「外国において考案され日本において特殊なもの」であること

単に外国の料理を作れれば良いというわけではありません。「外国において考案され我が国において特殊なものを要する業務」であることが必要です。 これはどういうことかというと、「外国特有の産業であり、日本の産業界では育成が困難な分野であること」を意味します。

具体的な判例を見てみましょう。過去の裁判例では、味噌ラーメン、ちゃんぽん、皿うどん等について、「遡ればその起源が中国にあり、又は中国人が考案したものであるものの、その後高度に日本化されたものであり、その調理が『産業上の特殊な分野』である中華料理の調理にあたるということは困難である」と判断されたケースがあります。つまり、日本の街中によくある一般的なラーメン屋さんで外国人を「技能」ビザで雇うことは非常に難しいということです。 一方で、同じ中華料理でも「チャーハンやシュウマイは、中華料理に含まれるということができる」と判断されています。

また、韓国料理の調理師を招聘する場合の例でも、「外国において考案され日本において特殊な料理である必要がある」ため、一般的な焼肉を提供する日本のチェーン店では要件に該当しないと思われる一方で、「韓国の宮廷料理」のような専門的かつ特殊なメニューであれば、該当する可能性が高いと考えられます。 お店のメニュー表やコンセプトが、この「特殊性」の要件に合致しているかどうかが、審査における大きなポイントとなります。

要件③:日本人と同等額以上の報酬を受けること

外国人労働者を受け入れる際の基本ルールとして、「日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けること」が定められています。 これは、安い賃金で外国人を雇用して国内の労働市場(日本人の雇用)を圧迫することを防ぐための規定です。したがって、「外国人だから少し安く雇いたい」といった考えは入管法上認められず、同じ職場で働く日本人コックや、同地域の同業種の給与水準と比較して、適正な給与を支払う雇用契約を結ぶ必要があります。なお、この報酬には、通勤手当や住宅手当などの実費弁償の性格を有するものは含まれません。

要件を満たしていることが確認できたら、次はその事実を入国管理局へ証明するための書類を準備します。書類の不備や矛盾は一発で不許可につながる恐れがあるため、慎重な準備が求められます。

申請において共通する重要なルールとして、官公署等から取得する提出資料は全て「発行日から3か月以内のもの」を提出する必要があります。また、提出資料が外国語で作成されている場合は、必ず「日本語訳」を添付しなければなりません。

主な必要書類は以下の通りです。 (※個別の状況により追加資料が求められることがあります)

【外国人本人(調理師)が準備する書類】

  • 履歴書及び職務経歴書
    過去の職歴を詳細に記載します。
  • 実務経験を証明する書類(在職証明書など)
    過去に勤務していた外国のレストランなどが発行した在職証明書が必要です。ここに、担当していた料理のジャンルや勤務期間が明記されており、合計で10年以上になることを証明します。
  • 専門学校の卒業証明書や成績証明書
    教育機関での期間を合算する場合に必要です。
  • パスポートの写し写真

【受け入れ企業(日本の飲食店)が準備する書類】

  • 雇用契約書や労働条件通知書
    報酬額が日本人と同等以上であること、職務内容が明確であることを示します。
  • 会社の決算文書の写し(直近年度の損益計算書など)
    事業の安定性や継続性を証明するために必要です。
  • 営業許可証の写し
    飲食店として適法に営業していることの証明。
  • 店舗の案内図、メニュー表、店舗の内観・外観の写真
    お店が「外国料理の専門店」として実際に存在し、特殊な料理を提供している実態があることを証明します。

提出した資料は原則として返却されないため、再度入手が困難な原本(卒業証明書の原本など)については、当該資料の原本にコピーを添付し、申請時にその旨を伝える必要があります。

外国にいる調理師を日本に呼び寄せる場合、「在留資格認定証明書交付申請」という手続きを行います。全体的な流れは以下のようになります。

  • 採用の決定と雇用契約の締結
    まずは、要件(10年以上の経験など)を満たす優秀な人材を見つけ、給与等の条件を決定して雇用契約を結びます。契約は「ビザが取得できたことを条件として発効する」といった内容にしておくのが一般的です。
  • 必要書類の収集と作成
    本国から在職証明書などの書類を取り寄せ、日本側で会社の書類等を準備します。翻訳が必要なものは翻訳作業も行います。
  • 地方出入国在留管理局への申請
    日本の受け入れ企業(または代理人である行政書士)が、管轄の出入国在留管理局へ「在留資格認定証明書交付申請」を行います。
  • 入国管理局での審査
    提出された書類をもとに、入管の審査官が厳密な審査を行います。審査の過程において、追加の資料が求められることもあります。
  • 在留資格認定証明書の交付と送付
    無事に許可されると、「在留資格認定証明書」が日本側の企業に交付されます。これを本国にいる外国人に送付します。
  • 現地の在外公館(日本大使館・領事館)での査証(ビザ)申請
    外国人が、届いた認定証明書を持って現地の日本大使館等に行き、ビザ(査証)の申請を行います。
  • 来日・就労開始
    ビザを取得し来日すると、空港で在留カードが交付され、日本での就労がスタートします(※主要空港以外では後日送付となることがあります)。

「技能」ビザの審査は、他の就労ビザと比較しても非常に厳格に行われる傾向があります。なぜなら、過去に実務経験を偽造した不正な申請が横行した背景があるためです。 そのため、入管は提出された書類をそのまま鵜呑みにすることはありません。以下の点に特に注意してください。

本国への電話による在籍確認と「ニックネーム問題」

入管の審査において、本国への電話等による所在および勤務期間の確認の電話は高い確率でされると考えておきましょう。 ここでよくある悲劇的な不許可ケースが、「ニックネームでの呼び合い」によるものです。 海外の飲食店では、同僚同士がニックネームで呼び合っていて、本名を知らないことが多々あります。入管からの電話連絡に対し、電話に出たスタッフが申請人の本名を知らなかったため、「そんな人間は勤務していない」と返答してしまい、不交付になってしまうケースがあります。

このような事態を防ぐためには、申請をしたら、お店の責任者に在職証明書の写しを保管させることが重要です。そして、電話連絡にはその店舗の責任者など適正な人物のみに電話対応させるよう事前に指導しておきます。「今、責任者がいません。いつならいるのでその時にかけ直してください」と返答させるなど、現場への根回しと対策が必要です。

グーグルアース(Google Earth)や「食べログ」での実態調査

最近の入管の申請では、テクノロジーを駆使した調査も行われているようです。 例えば、外国の勤務先として提出された事業所の所在地について、入管の審査官がグーグルアースを使って所在地を確認しているかもしれません。申請前に、提出する住所の場所に本当にお店があるかなどを必ず確認しておきましょう。

また、雇用する側である日本の料理店についても、審査時にインターネットで調査を行っているものと思われます。「食べログ」などのサイトで、本当に本国料理専門店であるかを調べられます。 もし、ホームページやグルメサイトのメニューが、日本の居酒屋メニューばかりで外国料理が隅の方に少しあるだけのような状態であれば、専門店としての実態が疑われ、不許可になる可能性が高くなります。不自然な画像などにも十分なチェックが必要です。

ここまで、在留資格「技能」ビザ(外国料理の調理師)の取得要件から申請の流れ、そして実務上の注意点までを解説してきました。

「技能」ビザは、長年の実務経験を証明するという性質上、本国から取り寄せる書類が多く、その正確性や信憑性が極めて厳しく審査されます。 少しでも矛盾があったり、本国への電話確認で上手く対応できなかったりすると不許可となってしまい、お店のオープンや人材確保の計画が大きく狂ってしまうことになります。また、一度不許可になると、再申請のハードルはさらに高くなってしまいます。

「忙しくて本国の書類の確認まで手が回らない」 「お店のメニューが『特殊な外国料理』として認められるか不安」 「確実に審査を通過して、早く優秀なシェフに働いてもらいたい」

そのようにお考えの経営者様やご担当者様は、自己流で申請を進める前に、ぜひビザ申請専門の行政書士にご相談ください。

WILL行政書士事務所では、国際業務を専門とする行政書士が、あなたの「技能」ビザ取得を強力にサポートいたします。 最新の入管法の審査基準や実務の傾向を確認し、本国への確認対応のアドバイスや、審査官が納得する論理的な理由書の作成など、許可率を最大限に高めるためのきめ細やかなコンサルティングを提供しています。

初回のご相談は無料です。現状のヒアリングから、ビザ取得の可能性、必要な準備まで丁寧にご案内いたします。 優秀な外国人スタッフを迎え入れ、お店のさらなる発展を実現するために、ぜひお気軽に当事務所へお問い合わせください。

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この記事を書いた人

WILL行政書士事務所 代表
石川県金沢市出身・在住の申請取次行政書士。
元技能実習生監理団体の職員で、自身も国際結婚を経験。
日本で生活する外国人の方をサポートします!

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