日本で働く外国人の皆様、そして外国人のご家族やパートナーをお持ちの皆様、こんにちは。外国人ビザ専門のWILL行政書士事務所です。
「ビザの期限が切れているのに、そのまま日本に残ってしまっている(オーバーステイ)」
「過去に強制送還されたが、どうしても日本に戻りたくて違う名前で入国してしまった」
「今の不安定な状況のまま、日本に住むパートナーと結婚して暮らし続けることはできるのだろうか…」
誰にも言えず、毎日不安な気持ちを抱えながら過ごしていませんか?入管法(出入国管理及び難民認定法)では、在留期限を超えて滞在している外国人は「退去強制(日本からの強制送還)」の対象となるのが原則です。しかし、日本で愛する人と出会い、どうしてもこの国で人生を歩んでいきたいという強い思いがある方もいらっしゃるでしょう。
そのような方にとって、一筋の光となるのが「在留特別許可」という制度です。
この記事では、国際業務の専門家である行政書士が、令和5年の法改正や令和6年3月の最新ガイドラインに基づき、在留特別許可の仕組みや、許可を得るための重要なポイントについてわかりやすく解説します。
「在留特別許可」とは?例外的に日本での滞在が認められる制度
日本の法律では、出入国の秩序や社会のルールを守るため、不法残留(オーバーステイ)など一定のルール違反をした外国人は、退去強制手続によって日本から退去させることが原則とされています。 しかし、対象となる外国人の中には、「すでに日本社会との結びつきが非常に強い」「人道的に配慮しなければならない特別な事情がある」といったケースも存在します。
そこで、退去強制の対象となっている外国人に対して、例外的に法務大臣が日本への在留を「特別に許可」する制度が設けられています。これが「在留特別許可」です。この許可が下りれば、非正規の滞在状態から、正規の在留資格を持った状態へと適法化されることになります。
令和5年入管法改正による大きな変更点
令和5年の入管法等改正により、在留特別許可に関する手続きが大きく変わりました。 以前は、法務大臣が広範な裁量の中で判断するものでしたが、改正法では、外国人が自ら法務大臣に対して「在留特別許可の申請」を行うことができる手続が創設されました。
法律上、以下のような事由に該当する場合に、法務大臣は在留を特別に許可することができるとされています。
- 永住許可を受けているとき
- かつて日本国民として本邦に本籍を有したことがあるとき
- 人身取引等により他人の支配下に置かれて本邦に在留するものであるとき
- 難民認定又は補完的保護対象者認定を受けているとき
- その他法務大臣が特別に在留を許可すべき事情があると認めるとき
許可されるかどうかの分かれ道!令和6年改定の新ガイドライン
在留特別許可は、誰にでも無条件で与えられるものではありません。法務大臣(または権限を委任された地方出入国在留管理局長など)が、様々な事情を総合的に判断して決定します。
出入国在留管理庁は、令和6年3月に「在留特別許可に係るガイドライン」を改定しました。この新ガイドラインでは、許可の判断における「積極要素(プラスの評価)」と「消極要素(マイナスの評価)」が明確に示されています。
審査においてプラスになる「積極要素」
以下のような事情がある場合は、日本での在留を認める方向で積極的に考慮されます。
- 家族関係の存在
日本人や特別永住者、または特定の在留資格を持つ外国人(定住者など)と法的に結婚しており、夫婦として安定した共同生活を送っていること。また、家族とともに生活するという「子どもの利益の保護」の必要性は積極要素として考慮されます。 - 地域社会への定着
日本の初等中等教育機関で長期間教育を受けているなど、日本の地域社会に相当程度溶け込んでいること。 - 人道上の配慮
難病等により、日本での治療がどうしても必要な場合など。 - 自ら出頭したこと
不法滞在であることを隠さず、自ら地方出入国在留管理官署に出頭して申告したこと。
審査においてマイナスになる「消極要素」
一方で、以下のような事情は出入国管理のルールを大きく乱すものとして、厳しく(消極的に)評価されます。
- 違反期間の長さ
不法残留や不法入国をしてから、日本に不法に滞在している期間が長いこと。 - 過去の違反歴
過去に退去強制手続や出国命令手続をとられたことがあること。 - 悪質な入国方法
偽造パスポート(偽造旅券)や偽名を使用したり、船舶で密航したりして不正に入国したこと。 - 反社会的な行為
他の外国人の不法就労を助長したり、在留カードを偽造・行使したりしたことがあること。
審査では、これらの積極要素と消極要素を天秤にかけ、「プラスの事情がマイナスの事情を明らかに上回る」と判断された場合に、在留特別許可の方向で検討されます。
よくある相談事例:「定住者」のパートナーと結婚して日本に残りたい
ここで、実際にある相談のパターンを一つご紹介しましょう。
【ご相談内容の例】
「私は現在オーバーステイの状態ですが、出会い系サイトで同じ国籍の相手と出会い、結婚することになりました。相手は日本人と離婚した後、『定住者』のビザで日本に住んでいます。私は過去に強制送還されたことがあり、今回は違う名前(偽名)のパスポートで日本に入ってきてしまいました。このまま結婚して、日本に住み続けることはできるでしょうか?」
このケースは、実務上非常に難しいハードルがいくつも存在します。ポイントを分けて解説します。
① 「偽装結婚」を疑われないための入念な準備が必要
インターネットの出会い系サイトで知り合ったという経緯は、入管から「ビザ目的の偽装結婚ではないか」と強く疑われる可能性が高いです。 そのため、単に結婚したという事実だけでなく、以下のような詳細な説明と証拠の提出が不可欠です。
- 出会い系サイトを利用した経緯や、結婚に至るまでの愛情の変化、将来を共にする決意をした具体的な理由を説得力をもって説明すること。
- 交際を裏付ける証拠(旅行の写真、電話の通話記録、手紙など)を積極的に提出すること。
- 相手の家族や親族から、二人の交際を認める「嘆願書」を書いてもらうこと(家族は通常、偽装結婚には加担しないと推定されるため、強い説得力を持ちます)。
② 相手の「定住者」ビザの残り期間(1年か3年か)が重要
相手の方が「定住者」の在留資格を持っている場合でも、その在留期間が「3年」か「1年」かで、許可の可能性が大きく変わります。 実務上、日本人と離婚して「定住者(期間1年)」を持っている方との結婚の場合、在留特別許可は認められにくい傾向にあります。一方で、在留期間が「3年」である場合は、許可が認められる可能性が高まります。
③ 過去の強制送還歴と「偽名入国」という重いマイナス要素
相談例にある「過去に退去強制された」「偽名旅券で入国した」という事実は、出入国管理行政に対する挑戦的で極めて悪質な行為(消極的要素)と評価されます。 特に最近の審査では、オーバーステイ(不法残留)よりも、偽名等を使った不法入国の方がより悪質だと見なされる傾向があります。
このような極めて不利な状況から許可を得るには、「なぜそのような重大な違反をしてしまったのか」を深く振り返り、協力者の情報も明らかにした上で、心の底からの反省を示す必要があります。単に「ごめんなさい」と謝るだけでは不十分です。「何を反省し、今後どうやって日本のルールを守って生きていくのか」を、配偶者や周囲のサポート体制を含めて、論理的かつ説得的に入管へ伝えなければなりません。
また、偽名のまま婚姻手続きをしてしまうと「全く反省していない」とみなされるため、本名に訂正する手続き等を適切に行う必要もあります。
専門家による「見通し」と「緻密な立証」が不可欠
在留特別許可は、「この条件を満たせば絶対に許可される」という単純なものではありません。法務省が公表している過去の事例を見ても、同じように「定住者」と結婚したケースでも、違反期間や過去の犯罪歴の有無、日本への定着度合いによって、許可された事例と不許可になった事例が混在しています。
公表されている事例の表面的な情報(在留年数や家族構成など)だけを見て、「自分も同じだから許可されるはずだ」と自己判断するのは非常に危険です。
在留特別許可を得るためには、最新のガイドラインや過去の公表事例、裁判例などを熟知した上で、ご自身の「プラスの事情(積極要素)」を最大限に引き出し、「マイナスの事情(消極要素)」をどのようにカバーして真摯な反省を伝えるかという、高度な専門知識と戦略が必要です。
一人で悩まず、まずはWILL行政書士事務所にご相談ください
「オーバーステイになってしまったが、日本の家族と離れたくない」
「過去の過ちを深く反省し、これからは正規のビザで堂々と生活したい」
そのように強く願う方は、どうか一人で抱え込まず、私たち「WILL行政書士事務所」にご相談ください。
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