【メディア掲載】『法で結ぶ未来ドットコム』にて当事務所のインタビュー記事が掲載されました

就労ビザで働く外国人が失業したら?失業手当(基本手当)の受け方と、在留資格への影響を徹底解説

長年勤めた会社を退職することになった、あるいは会社都合で急に離職してしまった——就労ビザで日本にいる方にとって、これは収入の不安だけでなく「このまま日本にいられるのだろうか」という大きな不安にもつながる出来事です。

結論から言うと、就労ビザで働く外国人の方も、日本人と同じように雇用保険の「失業手当(基本手当)」を受け取ることができます。ただし、失業手当そのものよりも注意すべきなのは「在留資格に応じた活動をしていない期間」です。今回は、失業手当を受給するまでの具体的な手順と、失業手当の受給・無職期間が今後の在留資格審査にどのような影響を与えるのかを、詳しく解説します。

目次

こんなケースで悩んでいませんか?

「技術・人文知識・国際業務」の在留資格で日本のIT企業に勤めていたAさんは、会社の業績悪化により突然の解雇を言い渡されました。次の仕事はすぐには見つからず、生活費のために雇用保険の失業手当を申請しようと考えています。しかし同時に、「失業手当をもらったら、次の在留資格の更新に悪い影響が出るのではないか」「無職のままではビザが取り消されてしまうのではないか」という不安を抱えています。

このような不安を持つ方は少なくありません。以下で、制度の仕組みと実務上のポイントを順に見ていきましょう。

ポイント① 就労ビザの外国人も雇用保険・失業手当の対象になります

まず大前提として、雇用保険法をはじめとする日本の労働関係法令は、国籍に関わらず外国人にも適用されます。
「技術・人文知識・国際業務」「特定技能」「技能」など、就労を目的とする在留資格で働いている方は、次の2つの条件を満たせば、日本人と同じように雇用保険の被保険者となります。

  • 1週間の所定労働時間が20時間以上であること
  • 31日以上雇用が見込まれること
行政書士:中田

ワーキングホリデーで働く方や、昼間の学生として学びながらアルバイトをしている留学生の方などは、原則として対象外となります。

失業手当(基本手当)を受け取るためには、さらに次の要件も満たす必要があります。

  • 自己都合退職の場合
    ▶ 離職日以前2年間に、被保険者期間が通算12か月以上あること
  • 会社都合の解雇・倒産、雇止めなど(特定受給資格者・特定理由離職者)の場合
    ▶ 離職日以前1年間に、被保険者期間が通算6か月以上あること

会社都合退職の場合の方が要件が緩やかになっている点は、覚えておいて損はありません。

ポイント② 本当に注意すべきは「無職の期間」――在留資格取消しの3か月ルール

失業手当を受け取ること自体が、在留資格に直接マイナスに働くわけではありません。それよりも重要なのが、出入国管理及び難民認定法(入管法)が定める、いわゆる「3か月ルール」です。

入管法22条の4第1項6号は、就労系の在留資格を持つ人が、その在留資格に応じた活動(つまり就労)を、正当な理由なく継続して3か月以上行わずに日本に在留している場合、在留資格を取り消すことができると定めています。さらに同項5号では、3か月が経過する前であっても、在留資格に応じた活動を行わず、他の活動を行っている(または行おうとしている)場合には、取消しの対象になり得るとされています。

出入国在留管理庁が公表している統計によれば、在留資格の取消件数は年々増加傾向にあり、直近の公表分では過去最多を更新しています。取消しの理由としては、この「活動を継続して行っていない」ことによるものが全体の約9割を占めており、就労系の在留資格を持つ方にとって決して他人事ではない数字です。

一方で、出入国在留管理庁は、退職後に具体的な就職活動(会社訪問や応募など)を行っている場合には「正当な理由」があるものとして扱われ得ることを、公式のQ&Aで示しています。つまり、退職後、実際に求職活動をしっかり行い、その記録を残しておくことが、在留資格を守るうえで何より重要だということです。

ポイント③ 退職後14日以内の届出も忘れずに

「技術・人文知識・国際業務」「特定技能」「技能」などの在留資格を持つ方は、勤務先との雇用契約が終了した場合、その事由が発生した日から14日以内に、出入国在留管理庁へ「契約機関に関する届出」を提出する義務があります(入管法19条の16)。

「まだ次の仕事が決まっていないから」と後回しにしてしまう方もいますが、届出義務は退職後すぐに発生します。届出を怠ると罰則の対象となるほか、次回の在留期間更新の審査でも不利に働く可能性があります。オンラインの届出システムを使えば手続きは比較的簡単なので、退職が決まったら早めに済ませておきましょう。

手続きのステップ:失業手当を受け取るまでの流れ

それでは、実際に失業手当を受け取るまでの手続きを、順を追って見ていきましょう。

ステップ1 離職票を受け取る

退職後、会社がハローワークに必要書類を提出し、それをもとに「離職票」が発行されます。手元に届くまで、退職から10日〜2週間程度かかるのが一般的です。

ステップ2 ハローワークで求職の申込みをする

離職票が届いたら、住所地を管轄するハローワークへ行き、求職の申込みをします。このとき、離職票、マイナンバー確認書類、写真、本人名義の通帳などに加えて、在留カードの提示が必要です。この日が「受給資格決定日」となります。

ステップ3 雇用保険受給者初回説明会に参加する

受給資格が決定すると、制度の仕組みや今後の認定日について説明を受ける「初回説明会」に参加します。この参加自体が、求職活動の実績としてカウントされることが一般的です。

ステップ4 待期期間(7日間)

受給資格決定日から7日間は、離職理由を問わず、誰であっても手当は支給されません。これは全員に共通する「待期期間」です。

ステップ5 給付制限期間(自己都合退職の場合のみ)

自己都合で退職した場合は、待期期間の後にさらに一定期間、手当が支給されない「給付制限期間」があります。この期間は制度改正により段階的に短縮されてきており、2025年4月1日以降に退職した方は原則1か月です(それ以前は原則2か月、2020年9月以前は原則3か月でした)。ただし、過去5年間に自己都合退職で2回以上受給資格を得ている場合や、重大な責任による解雇の場合は、原則3か月のままとなる点に注意してください。会社都合の解雇や雇止めの場合は、この給付制限自体がありません。

ステップ6 失業認定日に申告書を提出する

原則4週間に1回、指定された「失業認定日」にハローワークへ行き、その間の求職活動の実績を申告します。この求職活動の実績こそが、失業手当の要件であると同時に、在留資格上「正当な理由」を示す証拠にもなる、非常に重要な記録です。

ステップ7 基本手当が振り込まれる

認定を受けると、通常5営業日程度で、指定した口座に基本手当が振り込まれます。なお、受給できる期間は離職日の翌日から原則1年間に限られているため、この期間内に手続きを進める必要があります。

これらの手続きでは、多くのハローワークに設置されている「外国人雇用サービスコーナー」等を利用できる場合があります。言葉の面で不安がある方は、事前に問い合わせてみるとよいでしょう。

失業手当の受給は、今後の在留資格申請にどう影響するのか

最後に、多くの方が最も気になるポイントについて整理します。

デメリットとなり得る面
失業手当を受給しているということは、現在無職であることの証明にもなります。就労系の在留資格は、安定して就労し、生計を維持していることが前提となっているため、無職の状態が長引けば、次の在留期間更新の審査で「生計維持能力」に疑問を持たれる可能性があります。特に、無職期間が3か月に近づいている場合は要注意です。

プラスに評価され得る面
一方で、失業手当(基本手当)は非課税の社会保険給付であり、生活保護とは制度の性質がまったく異なります。生活保護の受給は永住許可などの審査で明確にマイナス評価となりますが、雇用保険料をきちんと納め、適正に受給する失業手当は、それ自体が不許可の直接の理由になるものではありません。むしろ、雇用保険料や税金を適正に納めてきた実績、そして離職票に記載される「会社都合退職」といった離職理由は、無職であることについて合理的な説明をするための資料として活用できます。

最も大切なこと
失業手当の受給に必要な「求職活動の実績」と、在留資格を守るために必要な「具体的な就職活動」は、実務上ほぼ同じものです。ハローワークでの相談記録、応募履歴、面接の記録などを日頃からきちんと残しておくことが、失業手当の受給と在留資格の維持、その両方を実現するための最善の備えとなります。

なお、永住許可申請では「独立の生計を営むに足りる資産又は技能」があることが求められます。失業手当を一時的に受給していたこと自体が直ちに不許可につながるわけではありませんが、転職を繰り返し、無職期間や失業手当の受給が複数回に及ぶ場合は、生計の安定性について慎重に説明する必要が出てきます。将来的に永住を考えている方は、この点も念頭に置いておくとよいでしょう。

まとめ

  • 就労ビザで働く外国人も、要件を満たせば日本人と同じように失業手当(基本手当)を受給できる
  • 失業手当の受給そのものは、直ちに在留資格上のデメリットにはならない
  • 本当に注意すべきは、就労活動を継続して行わない期間が「3か月」に近づくこと(入管法22条の4)
  • 退職後14日以内に「契約機関に関する届出」を必ず行う
  • 求職活動の記録は、失業手当の受給のためだけでなく、在留資格を守るための証拠としても必ず残しておく

失業は誰にでも起こり得ることであり、それ自体が悪いことではありません。大切なのは、正しい知識を持って、必要な手続きを一つひとつ丁寧に行うことです。もし現在のご自身の状況について不安がある方は、早めに専門家へご相談されることをおすすめします。

いかがでしたでしょうか。 WILL行政書士事務所では、配偶者ビザ、永住ビザの申請を始めとして、就労ビザ、帰化申請まで、日本で生活する外国人の方の手続きをサポートする業務を行っております。 当事務所の特徴として、「今」必要な申請に留まらず、その人その人の経歴、環境、人生観等を丁寧にヒアリングし、「将来」を見据えた最適な選択をご提案することを信条としております。 日本に長く在留したい方、将来的に永住を考えられている方などは、ぜひ一度ご相談ください。 初回のご相談は無料で受け付けております。 下記のリンクから、お気軽にご連絡ください。皆様からのご連絡を心よりお待ちしております。

初回無料相談はこちらから


参考法令等

  • 出入国管理及び難民認定法 第22条の4第1項第5号・第6号(在留資格の取消し)
  • 出入国管理及び難民認定法 第19条の16(契約機関に関する届出)
  • 雇用保険法 第6条(適用除外)、第13条・第14条(受給要件・被保険者期間)
  • 労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律 第28条(外国人雇用状況の届出)

参考文献・出典

  • 出入国在留管理庁「出入国審査・在留審査Q&A」https://www.moj.go.jp/isa/immigration/faq/kanri_qa.html
  • 出入国在留管理庁「令和7年の『在留資格取消件数』について」https://www.moj.go.jp/isa/11_00085.html
  • 厚生労働省「雇用保険の基本手当の給付制限期間に関するQ&A」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000139508.html
  • 厚生労働省・ハローワークインターネットサービス(雇用保険制度の概要)https://www.hellowork.mhlw.go.jp/

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この記事を書いた人

WILL行政書士事務所 代表
石川県金沢市出身・在住の申請取次行政書士。
元技能実習生監理団体の職員で、自身も国際結婚を経験。
日本で生活する外国人の方をサポートします!

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