<特定在留カード>という言葉を目にして、
「自分の在留カードも切り替えたほうがいいのだろうか」
「そもそもどんな制度なのか分からない」
と感じている方も多いのではないでしょうか。
2026年6月14日から、在留カードとマイナンバーカード(個人番号カード)を1枚にまとめた「特定在留カード」の交付が始まりました。ただし、これはすべての方が切り替えなければならない制度ではなく、あくまで希望者だけが選べる制度です。
この記事では、行政書士の立場から、特定在留カードのメリット・デメリットを公平に整理したうえで、実際に切り替えるまでの手順をご説明します。「切り替えるべきかどうか」を、ご自身の状況に照らして判断していただくための材料としてお使いください。
この記事はこんな人におすすめ!
- 通常の在留カードから、特定在留カードへの切り替えを検討している方
- 特定在留カードという名前は知っているけれど、具体的な内容が気になっている方
- 現在お持ちの在留カードが有効期限内で、「今すぐ何かしないといけないのか」を確認したい方
特定在留カードとは何か
特定在留カードとは、出入国管理及び難民認定法(入管法)第19条の15の2などの規定に基づき、通常の在留カードにマイナンバーカードとしての機能を付加したカードのことをいいます。特別永住者の方向けには、同じ仕組みで「特定特別永住者証明書」が用意されています。
根拠となっているのは、2024年6月に成立・公布された「出入国管理及び難民認定法等の一部を改正する法律」(令和6年法律第59号)です。この法律により、在留カード・特別永住者証明書とマイナンバーカードを一体化する仕組みが整えられ、2026年6月14日から運用が開始されました。
すでに制度は動いていますが、対象となるのは住民基本台帳に記録されている中長期在留者・特別永住者に限られ、切り替えるかどうかはご本人の希望次第です。
なお、これまでお持ちの在留カードは、有効期限までそのまま有効です。「切り替えないと使えなくなる」ということはありませんので、まずはその点をご安心ください。
①特定在留カードにするメリット
手続きの「二度手間」がなくなる
これまで、在留に関する届出や許可を地方出入国在留管理局(入管)で受けたあと、マイナンバーカードをお持ちの方は、別途市区町村の窓口へ行ってマイナンバーカードの情報更新をする必要がありました。特定在留カードにしておくと、入管での手続きと同時にマイナンバーカードの情報も最新の状態になるため、市区町村への追加の来庁が不要になります。仕事を休んで役所を2箇所回る、といった負担が軽くなる点は、大きなメリットといえるでしょう。
持ち歩くカードが1枚で済む
在留カードとマイナンバーカードの機能が1枚にまとまるため、本人確認書類としても、マイナ保険証やコンビニ交付サービスなどマイナンバーカードとしての用途としても、1枚で対応できるようになります。
永住者・高度専門職の方は有効期間が延びる
永住者の方や高度専門職2号の方が特定在留カードの交付を受ける場合、有効期間は「交付後10回目の誕生日まで」(18歳未満の方は5回目の誕生日まで)となります。これは、更新の頻度が下がることを意味し、長期的に見ると手続きの負担軽減につながります。
②特定在留カードにするデメリット・注意しておきたい点
交付までに時間がかかる
出入国在留管理庁の案内によれば、特定在留カードは通常の在留カードに比べて交付までおおむね10日ほど長くかかるとされています。即日交付はできませんので、「すぐに新しいカードが欲しい」という方には不向きです。在留期限が近い場合は、余裕をもって申請することをおすすめします。
オンライン申請ができない
在留申請オンラインシステムからは、特定在留カードの交付申請を受け付けていません(2026年9月時点)。窓口へ出向いての申請が必須となる点は、事前に押さえておきたいポイントです。
紛失したときの手続きがやや複雑になる
特定在留カードは「在留カード」と「マイナンバーカード」の2つの性質を1枚に持っているため、紛失した場合は、①警察への遺失届、②マイナンバーカード機能の一時利用停止手続き、③入管での再交付申請、という複数の対応が必要になります。しかも、再交付では、まず通常様式の在留カードが交付され、特定在留カードとして受け取り直すには改めて切替の申請が必要になるとされています。1枚にまとまっている分、紛失時のリスクや手間もまとまってしまう、という側面は理解しておく必要があるでしょう。
マイナンバー機能の有効期限を自分で管理する必要がある
マイナンバーカード機能に関する有効期間の満了日は、原則として在留期間の満了日に連動します。そのため、ビザの更新審査が長引いて「特例期間」に入ると、電子証明書が一時的に失効し、マイナ保険証などが使えなくなる可能性があります。この場合は、市区町村窓口での有効期間変更手続きが必要です。
券面から消える情報がある
新しい様式の在留カードや特定在留カードでは、「在留期間」「許可の種類」「許可年月日」などの情報が券面に印字されず、ICチップの中にのみ記録される形に変わります。確認のためには、出入国在留管理庁が提供する読み取りアプリが必要になるため、雇用主側の在留資格確認の実務にも影響が出る可能性があります。
切り替えなくても不利益はない
出入国在留管理庁は、これまでの様式の在留カードについて「引き続き有効であり、切り替える必要はない」としています。つまり、切り替えないことそのものによる不利益は、現時点では確認されていません。急いで動く必要はなく、次にご自身の在留資格に関する手続き(更新・変更など)を行うタイミングで、あわせて検討するので十分間に合います。
手数料はどのくらいかかるのか
出入国在留管理庁の案内によると、2026年6月14日以降、これまでの在留カードをお持ちの方が、在留資格の更新や変更などの手続きにあわせて初めて特定在留カードへの切り替えを行う場合は、原則として手数料はかかりません。
一方で、紛失や自己都合による交換など、上記に当てはまらないケースでは、入管への手数料(1,900円、直送を希望する場合は2,600円)と、地方公共団体情報システム機構(J-LIS)への手数料(600円、電子証明書の発行を伴う場合は800円)がかかります。あわせて最大2,700円程度(直送の場合は3,400円程度)が目安となります。
特定在留カードへの切り替え手続きのステップ
特定在留カードだけを単独で申請することはできません。在留に関する何らかの手続きに、あわせて申請する形になります。
ステップ1:申請できるタイミングを確認する
以下のような手続きを行う際に、あわせて特定在留カードへの切り替えを申請できます。
- 入管で行う手続き
在留カードの有効期間更新、汚損等による再交付、在留資格の変更、在留期間の更新、永住許可の申請など - 市区町村で行う手続き
新規上陸後の住居地届出、在留資格変更等に伴う住居地届出、住居地の変更届出など
ステップ2:必要書類をそろえる
特定在留カード等交付申請書(申請先によって様式が異なります)、暗証番号設定依頼書、写真1葉が基本的に必要です。あわせて行う手続きで写真をすでに提出している場合は、重ねて提出する必要はありません。パスポートと現在の在留カードの提示も忘れずに行いましょう。
ステップ3:入管または市区町村の窓口で申請する
上記の手続きにあわせて、窓口で特定在留カードの交付を希望する旨を申請します。一定の要件を満たす場合、市区町村を経由した申請では、自宅への郵送(直送)を希望することもできます。ただし、入管での申請では直送は選べません。
ステップ4:カードを受け取る
通常の在留カードに比べて交付まで時間がかかりますので、案内された受け取り方法・時期に従ってカードを受け取ります。市区町村を経由する場合は、原則としてご本人が窓口へ出頭する必要があります。
切り替えるかどうかの判断の目安
- 切り替えのメリットを感じやすい方
近いうちにビザの更新や住所変更などの手続きを予定していて、マイナンバーカードも日常的に使っている方。特に永住者・高度専門職2号の方は、有効期間が延びる恩恵も受けられます。 - 今は2枚持ちのままでよいと考えられる方
即日発行やスピード感を重視する方、紛失時の手続きの煩雑さやカードの一体化そのものに不安を感じる方、当面まとまった在留手続きの予定がない方。
いずれの場合も、「今すぐ決めなければならない」制度ではありません。次に何らかの在留手続きを行う機会に、あわせて検討していただければ十分です。
まとめ
- 特定在留カードは、2026年6月14日から運用が始まった、在留カードとマイナンバーカードを1枚にまとめる任意の制度です
- メリットは「入管と市区町村での二度手間の解消」「カード1枚化」「永住者等の有効期間延長」
- デメリットは「交付まで通常より約10日長い」「オンライン申請不可」「紛失時の手続きが複雑」「マイナ機能の有効期限管理が必要」など
- 初めての切り替えは原則手数料無料。紛失等の場合は最大2,700円程度が目安
- 単独申請はできず、在留資格の更新・変更などの手続きにあわせて申請する
- 切り替えないこと自体による不利益は現時点では確認されておらず、急いで判断する必要はありません
制度が始まったばかりで、実際に切り替えた方の体験談やトラブル事例はまだ十分に蓄積されていません。ご自身の状況で判断に迷う場合は、次の在留手続きのタイミングにあわせて、専門家にご相談いただくのも一つの方法です。

いかがでしたでしょうか。この記事が一人でも多くの方のお役に立てれば幸いです。
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参考法令等
- 出入国管理及び難民認定法(入管法)第19条の15の2~19条の15の4
- 行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(番号利用法)第18条の5
- 出入国管理及び難民認定法等の一部を改正する法律(令和6年法律第59号)
- 特定在留カード等の施行期日を定める政令(令和7年政令第422号)
参考文献・出典
- 出入国在留管理庁「在留カードとマイナンバーカードの一体化Q&A」(moj.go.jp/isa)
- 出入国在留管理庁「特定在留カード交付申請について」(moj.go.jp/isa/tokutei.html)
- 衆議院ホームページ「出入国管理及び難民認定法等の一部を改正する法律案」理由(moj.go.jp/isa/content/001415022.pdf)
※本記事は2026年9月時点の情報に基づいて作成しています。手数料や手続きの詳細は今後変更される可能性がありますので、実際の手続きの際は最新の情報を出入国在留管理庁の公式サイトでご確認ください。

