「そろそろ在留期間の更新時期だけど、手数料が値上がりすると聞いた」
「複数の外国人スタッフを雇用しているけれど、更新のたびにいくらかかるようになるのか不安」
2026年10月1日から、在留資格の変更許可・在留期間の更新許可・永住許可の手数料が大きく改定されます。これまで一律6,000円程度だった手数料が、許可される在留期間によって最大7万5,000円まで上がるほか、永住許可は1万円から20万円へと、実に20倍になります。
外国人ご本人にとっても、外国人材を受け入れる企業にとっても、無視できない改定です。この記事では、①何がどう変わるのか、②いつからどのように適用されるのか、③今のうちにできる対策は何か、をできるだけわかりやすく整理してご説明します。
何がどう変わるのか
- 変更対象は「在留資格変更許可」「在留期間更新許可」「永住許可」の3つの手続だけです。在留資格認定証明書(COE、海外から呼び寄せる際に必要な証明書)の交付は引き続き無料のままです。
- 在留資格変更・在留期間更新は、これまで一律6,000円(窓口)でしたが、改定後は許可される在留期間の長さによって1万円〜7万5,000円の7段階に分かれます。
- 永住許可は、窓口申請で1万円から20万円に引き上げられます。
- 適用の基準は「申請を受け付けた日」です。2026年9月30日までに受け付けられた申請であれば、実際に許可が下りるのが10月1日以降になっても、改定前の料金で済みます。
以下、順番に見ていきましょう。
そもそもなぜ値上げされるのか
今回の改定の直接の根拠は、2026年5月に成立した改正入管法と、それに基づき2026年8月25日に閣議決定された政令です。出入国在留管理庁(入管庁)は、値上げの理由を大きく次のように説明しています。
理由1:手数料の上限が長らく据え置かれていたこと
在留資格の手数料の上限は、昭和56年(1981年)の制度導入以来、約45年間ほとんど見直されてきませんでした。その間に日本に在留する外国人の数は、当時の約79万人から令和7年末には約413万人へと、5倍以上に増えています。入管庁での審査業務の負担も比例して増加しており、こうした行政コストの増加分を、サービスを受ける側にも一定程度負担してもらう「受益者負担」の考え方が、値上げの土台になっています。
理由2:受入環境の整備や審査体制強化のための財源
引き上げによる増収分は、外国人向けの相談窓口や日本語教育支援といった受入環境の整備、審査を迅速化するためのシステム投資や人員体制の強化などに充てる方針とされています。
理由3:諸外国と比べて低い水準にあったこと
入管庁の調査(2026年6月時点、1米ドル=149円換算)によれば、就労資格の滞在許可にかかる手数料は国によって最高110万円程度から最低1万円程度まで、実に約100倍の開きがあるとされています。アメリカ・イギリス・カナダなどでは就労資格の許可に100万円を超える手数料がかかる例もあり、こうした国では雇用主が費用を負担するのが一般的とされています。日本はこれまで国際的に見てかなり低い水準にあったというのが、入管庁の説明です。
なお、この改定については、日本弁護士連合会や各地の弁護士会、支援団体などから「外国人にのみ過大な負担を強いるものではないか」「特に更新頻度の高い難民申請者への影響が大きいのではないか」といった反対の意見も出されています。制度の是非についてはさまざまな立場からの意見があることも、あわせてご紹介しておきます。
【外国人ご本人の方へ】具体的にいくらになるのか
在留資格変更・在留期間更新の手数料
これまでは、どんな在留期間で許可されても一律6,000円(窓口)・5,500円(オンライン)でした。改定後は、実際に許可される在留期間の長さによって、次のように金額が変わります。
| 許可される在留期間 | 窓口申請 | オンライン申請 |
|---|---|---|
| 3か月以下 | 10,000円 | 10,000円 |
| 3か月超6か月以下 | 18,000円 | 15,000円 |
| 6か月超1年未満 | 25,000円 | 21,000円 |
| 1年 | 33,000円 | 27,000円 |
| 1年超3年未満 | 48,000円 | 42,000円 |
| 3年以上5年未満 | 64,000円 | 56,000円 |
| 5年以上 | 75,000円 | 65,000円 |
※オンライン申請は上記に加えて決済手数料(330円または550円)が別途かかります。
ここで大事なポイントが2つあります。
1つ目は、手数料は「何の手続きか」ではなく「実際に何年の在留期間で許可されたか」で決まるということです。同じ「更新」でも、1年の更新なら窓口33,000円、3〜5年の更新なら窓口64,000円と変わります。申請時点では正確な金額が確定しない、という点は覚えておいていただきたいところです。
2つ目は、在留期間が長いほど、1年あたりの負担は軽くなるように設計されているということです。たとえば1年更新を5回繰り返す場合と、最初から5年の在留期間で許可される場合とでは、後者のほうがトータルで安く済みます。長期の在留期間を取得できるよう、日頃から納税・社会保険・各種届出などをきちんと行っておくことが、結果的に手数料の節約にもつながります。
永住許可の手数料
永住許可は、窓口申請のみで 1万円から20万円 に引き上げられます。今回の改定の中でも、最も影響が大きい部分です。
経済的に困窮している方への配慮措置
生活保護法上の要保護者に準ずるほど生活が困窮しており、かつ人道上の配慮が必要と認められる方については、減額措置があります。
- 在留資格変更:1万円
- 在留期間更新:1万円
- 永住許可:2万円
ただし、この減額を受けるには「生活が困窮していること」と「人道上の配慮が必要であること」の両方を満たす必要があり、いずれか一方だけでは対象になりません。永住許可の場合は、日本人・永住者・特別永住者の配偶者やお子さんなどに限られます。また、この減額措置はオンラインシステムでは対応しておらず、窓口での申請が必要です。
なお、外交・公用の在留資格への変更など、ごく一部の手続については手数料が完全に免除(無料)されます。
変わらないもの(据え置き)
以下の手続は、今回の改定の対象外で、金額は変わりません。
- 在留資格認定証明書(COE)交付:無料
- 再入国許可(一次):窓口4,000円
- 再入国許可(数次):窓口7,000円
- 就労資格証明書交付:窓口2,000円
- 資格外活動許可:無料
- 在留カードの再交付(紛失・盗難等による場合):無料
【受入企業の方へ】企業への実務的な影響
外国人スタッフを雇用する企業にとって、今回の改定は決して小さくないコストインパクトがあります。
たとえば、特定技能1号のように在留期間が短く区切られる資格は、更新の頻度そのものが高いため、累積の負担が大きくなりやすい傾向があります。
1年更新(オンライン27,000円)の方を10名雇用していれば年間27万円、30名であれば年間81万円という計算になり、改定前と比べておおよそ5倍前後の負担増となります。
一方で、前述のとおり、長期の在留期間を取得できれば、トータルの負担は抑えられます。5年の在留期間を一度で取得できれば、1年更新を5回繰り返すよりも安く済む設計です。したがって企業側の対策としては、次のような点が重要になってきます。
- 労務管理・納税・社会保険加入・各種届出を適正に行い、長期の在留期間が認められやすい状態を保つこと
- オンライン申請の体制(所属機関としての利用申出、取次者の活用など)を整えて、窓口との差額を活用すること
- 手数料を会社と本人のどちらが負担するのかを、就業規則や雇用契約書であらかじめ明確にしておくこと(制度上、負担者の定めはないため、あいまいにしておくとトラブルの原因になります)
複数名を同時に更新する時期が重なる会社では、想定より大きな出費になることもあります。年間の在留手続きスケジュールを一覧化し、Resource(人・費用)の見通しを立てておくことをおすすめします。
いつからどう適用されるのか:施行日と経過措置
適用の基準となるのは、「申請を受け付けた日」です。
入管庁は、2026年9月30日までに受け付けられた申請については、実際の許可が10月1日以降になった場合でも、改定前の手数料が適用されると案内しています。逆にいえば、10月1日以降に申請を受け付けたものは、たとえ在留期限にまだ余裕があっても、新料金が適用されるということです。
在留期間の更新は、原則として満了日のおおむね3か月前から申請可能です。つまり、在留期限が2026年12月末頃までの方は、9月中に申請すれば旧料金が適用される可能性があるということになります。永住許可についても、要件を満たしている方は、この時期の申請を検討する価値があるでしょう。
ただし、注意していただきたいのは、要件を満たしていない状態であわてて申請してしまうと、かえって不許可のリスクを高めてしまうという点です。手数料の節約のためだけに申請を急ぐのではなく、まずはご自身(あるいは従業員の方)が要件を満たしているかどうかを、専門家に確認することをおすすめします。
納付方法にも変更があります
窓口申請では、これまでどおり収入印紙での納付です。ただし金額の種類が増えるため、通知された金額に合った収入印紙をあらかじめ準備しておく必要があります。入管局内の売店では在庫が少ないこともあるため、大きな郵便局などで事前に用意しておくと安心です。
オンライン申請では、これまで使えていた収入印紙による納付ができなくなり、コンビニ決済または銀行振込(インターネットバンキング可)に変わります。クレジットカードやQRコード決済には対応していません。審査完了後、指定の決済代行事業者のメールアドレスから案内が届く仕組みですが、これに似せた詐欺メールにも注意が必要です。入管庁が案内する正規のアドレス以外からの納付要求には十分ご注意ください。
まとめ
最後に、今回の改定のポイントを整理します。
- 対象は「在留資格変更」「在留期間更新」「永住許可」の3つ。COE交付や再入国許可などは変わらず
- 変更・更新は許可される在留期間に応じて1万円〜7万5,000円の7段階制に
- 永住許可は1万円から20万円へ、20倍の引き上げ
- 適用の基準は「申請の受付日」。2026年9月30日までの受付なら旧料金が適用される
- 長期の在留期間を取得できれば、1年あたりの負担は軽くなる設計
- オンライン申請は窓口より安いが、納付方法が収入印紙からコンビニ・銀行決済に変更
制度の変わり目は、外国人ご本人にとっても、受入企業にとっても、手続きのタイミングや準備の仕方次第で負担が大きく変わってきます。「自分(自社)の場合はどうなるのか」「今のうちに申請しておいたほうがよいのか」など、個別の状況に応じた判断が必要な場面も多いかと思います。ご不安な点があれば、早めに専門家にご相談されることをおすすめします。

いかがでしたでしょうか。この記事が一人でも多くの方のお役に立てれば幸いです。
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参考法令等
- 出入国管理及び難民認定法(入管法)第67条
- 改正入管法(令和8年法律第32号)
- 出入国管理及び難民認定法施行令の一部を改正する政令(令和8年8月25日閣議決定、令和8年10月1日施行)
- 出入国管理及び難民認定法施行規則等の一部を改正する省令
参考文献・出典
- 出入国在留管理庁「令和8年10月1日付け在留許可手数料の額の改定等について」(moj.go.jp/isa)
- 出入国在留管理庁「オンライン申請における手数料額及び手数料納付方法について」(moj.go.jp/isa)
- 出入国在留管理庁「在留許可手数料の額及び減額又は免除の対象者等について」

