【メディア掲載】『法で結ぶ未来ドットコム』にて当事務所のインタビュー記事が掲載されました

在留資格「留学」の方が知っておきたいこと ― 学生生活・年金・就活・在留資格変更まで

「留学」の在留資格で日本の大学や専門学校に通っている皆さんの中には、こんな疑問を持ったことがある方も多いのではないでしょうか。

「アルバイトってどれくらいまでやっていいの?」
「年金って、留学生の自分も払わないといけないの?」
「就職が決まったら、在留資格ってどうやって変えるの?」
「専攻と全然違う仕事に就いても大丈夫?」

こうしたご相談が留学生ご本人や、留学生を採用する企業の担当者からの声がよく聞かれます。
せっかく頑張って日本での学生生活を送っても、ちょっとした制度の見落としで就職活動や在留資格変更でつまずいてしまうケースは少なくありません。

この記事では、「留学」の在留資格をお持ちの方が、①学生生活で意識すべきこと、②国民年金の学生納付特例、③就職活動における注意点、④実際に就職する際の在留資格変更手続き、の4つのテーマについて、行政書士の視点から実務的に解説します。

目次

ここで、実際にあった(似た)ケースをご紹介します。

Aさんは本国の大学に進学した後、国費留学生として日本の国立大学に編入し、地球物理学を専門課程で学んで博士号を取得しました。学生時代からアルバイトをしていた不動産会社から「ぜひ社員として働いてほしい」と誘われ、一般総務としての採用が決まり、在留資格変更許可申請をしました。

しかし結果は不許可。理由は「大学で学んだ内容と、実際に従事する予定の職務内容に関連性が認められない」というものでした。Aさんは在留期間の残りである31日間の帰国準備期間に入ってしまいましたが、諦めずに人脈を頼って動いた結果、農業生産法人から専門性を活かせる仕事のオファーを受け、無事に再申請・許可となりました。

このケースが教えてくれるのは、「どんなに有名な大学を出ていても、学んだ内容と仕事内容の関連性は厳しく審査される」という現実です。逆に言えば、この関連性さえきちんと説明できれば、道は開けるということでもあります。

資格外活動許可(アルバイト)の「週28時間」の数え方

「留学」の在留資格は、本来は就労が認められていません。アルバイトをするには「資格外活動許可」を取得する必要があります。この許可を受けても、無制限に働けるわけではなく、次のルールがあります。

  • 通常期間は1週について28時間以内
  • 学校が定める長期休業期間(夏休み・春休みなど)は1日について8時間以内(連続する7日間で40時間以内)
  • 風俗営業等(パチンコ店、麻雀店、キャバレー、接待を伴うバーなど)での就労は、許可があっても一切禁止

ここで注意していただきたいのは、「週28時間」は特定の曜日から数えるのではなく、どの日から数えても連続する7日間で28時間以内である必要があるという点です。また、複数のアルバイトを掛け持ちしている場合は、その合計時間で判断されます。「このバイトは20時間、あのバイトは15時間だから大丈夫」ではなく、合計35時間はオーバーとなってしまいます。

オーバーワーク(時間超過)は不法就労にあたり、発覚すると在留資格の取消しや、将来の在留期間更新・在留資格変更の審査で「素行が善良でない」と判断される大きなマイナス要因になります。
雇用する企業側も不法就労助長罪に問われるリスクがあるため、双方にとって大切なルールです。

なお、報道によれば、出入国在留管理庁は留学生の就業状況や勤務時間をより厳密に管理する方向で制度の見直しを検討しているとされています。今後の制度変更にも注目しておくとよいでしょう。

卒業・退学後はアルバイト継続不可

見落とされがちなのが、在留期間が残っていても、卒業・退学した時点で資格外活動許可の効力は失われるという点です。
たとえば3月に卒業して4月に入社する場合、その間の空白期間にアルバイトを続けることは原則できません。

各種届出は14日以内に

引っ越し(住居地変更)、氏名等の変更、転校・退学・卒業といった所属機関の変更があった場合は、変更のあった日から14日以内に届出が必要です。
怠ると20万円以下の罰金の対象となるほか、その後の在留審査でも不利に働きます。

退学・除籍時は特に注意

退学や除籍によって学業という「留学」本来の活動が終了すると、正当な理由なく3か月以上その活動を行わない状態が続くと、在留資格を取り消される可能性があります(入管法第22条の4)。
退学・除籍後は、就職・進学・帰国など次の進路を速やかに決めることが重要です。

20歳になったら加入義務が発生

日本国内に住民登録している方は、20歳になった時点で国民年金(第1号被保険者)の加入義務が生じます。これは外国人留学生も例外ではありません
「自分は将来日本に住み続けるかわからないから関係ない」と思われるかもしれませんが、実は将来日本で就職する際に加入履歴を聞かれることもあり、学生時代の未加入が後々のトラブルにつながることもあります。

学生納付特例制度とは

在学中は収入が少ない方がほとんどですので、日本年金機構では「学生納付特例制度」という保険料の納付猶予制度を用意しています。

  • 対象:大学・大学院・短期大学・高等専門学校・専修学校・各種学校(修業年限1年以上)などの学生で、前年の所得が一定額以下(申請者本人のみの所得で判定。家族の所得は問いません)
  • 申請先:住民登録している市区町村の国民年金窓口、年金事務所、在学中の学校(学校が窓口になっている場合)、またはマイナポータル等での電子申請
  • 必要書類:学生証の写しまたは在学証明書、基礎年金番号がわかる書類など
  • 申請時期申請は毎年必要です。年度(4月〜翌年3月)ごとに更新する必要があるため、うっかり忘れないようにしましょう。

「猶予」であって「免除」ではない点に注意

学生納付特例の期間は、将来老齢基礎年金を受け取るための「受給資格期間」には算入されますが、将来受け取る年金額の計算には反映されません。つまり、そのままにしておくと、その分だけ将来の年金額が少なくなります。

承認された期間の保険料は、10年以内であれば後から納める「追納」が可能です。
ただし、承認された年度から数えて3年度目以降に追納すると、当時の保険料に加算額が上乗せされるため、余裕ができたタイミングでなるべく早めに追納するのがお得です。追納した保険料は社会保険料控除の対象になるため、所得税・住民税の軽減にもつながります。

未納のまま放置するとどうなるか

特例を申請せずに未納のまま放置してしまうと、万が一在学中にケガや病気で障害を負った場合の障害基礎年金や、ご家族に何かあった場合の遺族基礎年金を受け取れなくなる可能性があります。「まだ先の話」と思わず、20歳になったら忘れずに申請しておきましょう。

就活スケジュールの目安

日本の新卒採用は、大学3年生の3月頃に採用情報が解禁され、4年生の6月頃から本格的な選考が始まるのが一般的なスケジュールです(企業によって前後します)。
留学生の場合は、日本語での対策や書類準備に加えて、後述する在留資格変更のスケジュールも意識する必要があるため、できるだけ早い時期から動き出すことをおすすめします。

最重要ポイント:専攻と職務内容の「関連性」

就職先が決まっても、その職務内容が学校で学んだ専攻分野と関連していなければ、在留資格変更が認められません。
ここで意外と知られていないのが、大学卒業者と専門学校卒業者とで、この関連性の審査の厳しさが異なるという点です。

法務省が公表しているガイドラインでは、大学は「学術の中心として広く知識を授ける機関」であることから専攻と職務の関連性は比較的柔軟に判断される一方、専修学校(専門学校)は「職業に必要な実践的能力の育成を目的とする機関」であることから、専攻科目と業務内容に相当程度の関連性が必要とされています。

たとえば、経理・簿記を専門学校で学び「専門士」の称号を得た方が、語学力を活かせるという理由だけでホテルのフロント業務に就こうとしても、経理・簿記という専攻内容とフロント業務の関連性が薄いとして、不許可になる可能性が高いというのが実務上の傾向です。
専門学校を卒業される方は、自分の専攻内容を成績証明書などで具体的に説明できる職種を選ぶことを意識してください。

言語能力を活かす仕事を目指す方へ

翻訳・通訳、ホテル・旅館などでの接客業務のように、主に言語能力を用いる仕事を希望する場合、2026年4月以降の申請からは、業務で使用する言語について一定の言語能力(日本語であれば日本語能力試験N2以上など)を証明する資料の提出が必要になるケースがあります。
日本の大学を卒業見込みの方は、この基準を満たしているとみなされますが、それ以外の学校を卒業される方は、早めに語学試験を受けておくと安心です。

「留学」から「技術・人文知識・国際業務」への変更が基本ルート

多くの留学生が就職時に取得するのが「技術・人文知識・国際業務」という在留資格です。この在留資格が認められるための主なチェックポイントは次の3つです。

  1. 専攻科目と業務内容の関連性(ポイント3で解説した内容)
  2. 日本人と同等額以上の報酬であること
  3. 受け入れる企業に安定性・継続性があること

申請のタイミングはいつがベスト?

4月からの就労開始を予定している場合、卒業年の12月〜1月末(東京出入国在留管理局は12月から受付開始)に在留資格変更許可申請を行うのが一般的な目安です。
標準的な処理期間は1か月程度とされていますが、1〜3月は申請が集中して審査が長引く傾向があるため、余裕を持ったスケジュールで動きましょう。

在留資格変更許可申請は、在留期間更新のように「◯か月前から」という制限がなく、卒業見込みの段階でも申請が可能です。ただし、許可が下りるまでは新しい在留資格でのフルタイム勤務はできませんので注意してください。

必要書類の例

  • 在留資格変更許可申請書、写真
  • 卒業証明書または卒業見込証明書、成績証明書
  • 専門士・高度専門士の称号証明書(専門学校卒業の場合)
  • 雇用契約書または労働条件通知書
  • 企業の規模等に応じた資料(源泉徴収票等の法定調書合計表、登記事項証明書、決算書類など)

なお、2025年12月からは、本邦の大学卒業(見込み)者や海外の有力大学卒業者などについて、一定の条件のもとで提出書類が簡素化されています。該当するかどうかは個別の状況によりますので、詳しくはご相談ください。

不許可になりやすいケース

過去の事例からは、次のようなケースで不許可となる傾向が見られます。

  • 専攻科目と職務内容の関連性が認められない(例:イラストレーション学科卒業者が接客販売業務に従事する場合など)
  • 単純作業・反復訓練で対応できる業務(工場での梱包作業、部品の組立・検査のみなど)
  • 報酬が同時期に採用された日本人従業員より低い
  • 在学中の資格外活動違反歴がある(週28時間の上限を大幅・継続的に超えていた等)
  • 名目上は専門的な仕事とされていても、実態は長期にわたる単純作業

参考までに、出入国在留管理庁の公表資料によれば、令和6年(2024年)の留学生の就職目的の在留資格変更許可申請は、処分件数41,142件のうち許可39,766件、不許可1,376件で、許可率は96.7%でした。高い許可率ではありますが、100%ではないという点は覚えておいていただきたいところです。
なお、変更後の在留資格の内訳を見ると「技術・人文知識・国際業務」が78.9%と依然として最多ですが、その割合は数年前の86%台から緩やかに低下しており、特定技能や特定活動など他の在留資格を選ぶ方も増えてきています。

卒業までに内定が決まらなかったら

「卒業までに就職先が見つからなかったらどうしよう」と不安になる方もいらっしゃると思います。そのような場合に活用できるのが、「特定活動(継続就職活動)」という在留資格です。

  • 在留状況に問題がなく、卒業した学校からの推薦があれば、就職活動のための「特定活動」(在留期間6か月)への変更が可能
  • 更に1回更新でき、卒業後最長1年間は就職活動を続けながら日本に滞在できます
  • 地方公共団体が行う既卒者向けの就職支援事業の対象となれば、さらに1年(合計最長2年)滞在できる場合もあります
  • この期間中も資格外活動許可を取得すれば、週28時間以内のアルバイトが可能です

内定が出たものの入社まで期間が空いてしまう場合(例:秋卒業・翌春入社など)は、「内定待機のための特定活動」への変更が必要になることもあります。卒業時期と入社時期にズレがある方は、早めに専門家にご相談されることをおすすめします。

在留資格「留学」の方が安心して学生生活を送り、スムーズに就職へとつなげるために、押さえておきたいポイントをまとめます。

  • アルバイトは「週28時間」を掛け持ち合計で厳守。オーバーワークは将来の審査に響く
  • 引っ越し・転校・退学などの変更は14日以内に届出を
  • 20歳になったら国民年金の学生納付特例を毎年忘れずに申請。追納はなるべく早めに
  • 就職先を選ぶときは、自分の専攻内容と職務内容の関連性を意識する(特に専門学校卒業者は要注意)
  • 在留資格変更許可申請は、4月入社なら卒業年の12月〜1月末を目安に、余裕を持って準備する
  • 卒業までに内定が出なくても、「特定活動(継続就職活動)」で最長1年(条件によっては2年)就職活動を続けられる

制度は複雑に見えるかもしれませんが、一つひとつのポイントを早めに押さえておけば、決して怖いものではありません。ご自身の状況に不安がある場合や、専攻と職務内容の関連性について判断に迷う場合は、早めに専門家へご相談いただくことをおすすめします。

いかがでしたでしょうか。この記事が一人でも多くの方のお役に立てれば幸いです。
WILL行政書士事務所では、配偶者ビザ、永住ビザの申請を始めとして、就労ビザ、帰化申請まで、日本で生活する外国人の方の手続きをサポートする業務を行っております。
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参考法令等

  • 出入国管理及び難民認定法(入管法)第19条、第22条の4、第70条ほか
  • 出入国管理及び難民認定法第7条第1項第2号の基準を定める省令(基準省令)「技術・人文知識・国際業務」該当基準
  • 国民年金法(学生納付特例に関する規定)

参考文献・出典

  • 出入国在留管理庁「『留学』の在留資格に係る資格外活動許可について」(moj.go.jp/isa)
  • 出入国在留管理庁「大学等を卒業後就職活動のための滞在をご希望のみなさまへ」(moj.go.jp/isa)
  • 出入国在留管理庁「令和6年における留学生の日本企業等への就職状況について」(令和7年11月公表)
  • 法務省「留学生の在留資格『技術・人文知識・国際業務』への変更許可のガイドライン」(平成27年2月策定、平成30年12月改訂)
  • 出入国在留管理庁「『技術・人文知識・国際業務』の在留資格の明確化等について」(令和8年4月改正)
  • 日本年金機構「国民年金保険料の学生納付特例制度」(nenkin.go.jp)
  • 濱川恭一・長谷部啓介『実務家のための100の実践事例で分かる入管手続き』労働新聞社
  • 行政書士法人シンシアインターナショナル(鶴野祐二・山岸孝浩・太田洋子)『知らなかったではすまされない外国人雇用の在留資格判断に迷ったときに読む本』税務経理協会

※本記事は執筆時点(2026年8月)の情報に基づいています。入管制度・年金制度は改正が頻繁な分野ですので、実際にお手続きされる際は、出入国在留管理庁・日本年金機構等の最新の公式情報もあわせてご確認ください。

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この記事を書いた人

WILL行政書士事務所 代表
石川県金沢市出身・在住の申請取次行政書士。
元技能実習生監理団体の職員で、自身も国際結婚を経験。
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