給料が下がっても就労ビザ(技人国)は更新できる?年収の審査基準と不許可を避けるための理由書の書き方

「会社の業績が悪くなって給料が減ってしまった……。次の就労ビザの更新は大丈夫?」

「転職活動中にしばらく無職の期間があったから、今年の住民税が非課税(または極めて低い)になってしまったけれど、更新時の審査に落とされない?」

「お給料が低くても、1年ビザから3年・5年ビザに延ばす方法を知りたい!」

日本で「技術・人文知識・国際業務(通称:技人国ビザ)」などの就労ビザを持って働いている外国人の皆さんにとって、毎月の「お給料(収入)」は生活の基盤であると同時に、ビザを維持するための命綱です 。しかし、会社の経営悪化や予期せぬ転職、あるいは体調を崩して休職したことなどが原因で、「前年よりも大幅に年収が下がってしまった」というピンチに直面することがあります。

次回のビザ更新を前にして、「給料が低いという理由だけで不許可になり、日本にいられなくなるのではないか」と不安になっている方が多くいらっしゃいます。

結論から申し上げますと、お給料が下がったり、一時的に年収が低くなったりしても、それだけで就労ビザの更新が一発で不許可になるわけではありません。ただし、日本の最低賃金を下回っていたり、独立して生活できないほど困窮していると判断された場合は、ビザの期間が「1年」に縮小されるか、最悪の場合は更新不許可になるリスクがあります。そのため、収入が下がった『正当な理由』と『今後の回復見込み』を、理由書(説明書)で入国管理局(入管)へ論理的に説明することが極めて重要です。

今回は、国際業務専門の行政書士が、就労ビザの更新における収入の審査基準と、減給や無職期間のピンチを乗り越えて高い確率で更新許可を勝ち取るための対策を詳しく解説します 。

目次

就労ビザの更新手続きにおいて、入管の審査官はあなた自身の「所得課税証明書」や「住民税の納税証明書」を提出させて、経済的な安定性を厳しく審査します

入管法において、外国人を日本で働かせるための基準(上陸許可基準・在留資格該当性)には、収入に関して以下の2つの絶対的なルールが定められています

1. 「日本人と同等額以上の報酬」であること(報酬要件)

入管法の条文には、「日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けること」と明記されています 。 これは、外国人だからという理由で会社が不当に低い給料でこき使う(不当労働・搾取)のを防ぐためのルールです。したがって、あなたの給料が下がったとしても、「同じ会社で同じような仕事をしている日本人の同僚」と同じ水準、あるいはそれ以上のお給料がキープされていれば、この報酬要件はクリアできます。

2. 「独立して日本で暮らしていける経済力」があること(生計要件)

もう一つの基準は、生活保護などに頼らず、自分自身の収入だけで日本で自立して安定した生活を送ることができるか、という点です 。 実務上の具体的な年収のボーダーライン(最低ライン)としては、単身者の場合、最低でも「年収200万〜240万円以上(月給で手取り18万〜20万円以上)」が目安となります 。 もし、これを大幅に下回って年収が150万円程度に落ち込んでしまっている場合、入管から「日本での継続的な生活が困難である」とみなされ、ビザの更新が著しく不利になります 。

お給料の減少や一時的な無職期間がある方のなかでも、特に以下の3つのケースに該当する場合は、入管から「在留状況が不良」「生計維持能力なし」と厳しく判断され、不許可のリスクが大きく上がります 。

ケース①:転職活動による「3ヶ月以上の完全な無職期間」があった場合

前の会社を辞めてから、次の会社に入るまでに3ヶ月以上のブランク(無職の期間)があり、その間の収入証明が完全に途絶えているケースです。 入管法上のルールとして、就労ビザの外国人が正当な理由なく3ヶ月以上、本来の活動(仕事)を行っていない場合、在留資格の取り消し対象になります 。 転職活動が長引いたこと自体はやむを得ない事情(正当な理由)として考慮されますが、その無職期間中の生活費をどのように工面していたのか(母国からの送金や、過去の貯金の切り崩しなど)を、通帳のコピー等で入管に証明できなければ、「不法就労をしていたのではないか」と強く疑われます。

ケース②:減給によって「住民税や年金」を滞納してしまった場合

お給料が下がって生活が苦しくなった結果、住民税や国民年金、健康保険料の支払いを後回しにしてしまい、未納(滞納)や支払いの遅れが発生しているケースです 。 現在の入管の更新審査において、公的義務の履行(期限通りの納税)は、会社の経営状態よりも厳しく個人の素行としてチェックされます 。 「お金がなかったから、何ヶ月分かまとめて後から払った」という状態であっても、国が定めた期日を1日でも過ぎて支払った履歴があると、それだけで社会的素行に問題があると判断され、ビザの期間が「1年」に縮小されるか、最悪の場合は不許可になってしまいます 。

ケース③:勤務している会社自体が「大幅な赤字経営」に陥っている場合

あなた自身のお給料だけでなく、あなたを雇っている会社自体の決算書が「債務超過(大幅な赤字)」に陥っているケースです 。 入管の審査官は、会社の損益計算書や貸借対照表を確認し、「この会社は、この外国人に今後も安定して給料を支払い続けることができる財務基盤があるか(雇用の継続性)」を審査します 。 会社が今にも潰れそうな状態であると判断されると、あなたの年収がいくら高くても、「在留資格該当性(安定した所属機関の存在)」がないとして不許可になり得ます 。

上記のような弱点や不安要素(お給料の減少、一時的な無職期間、会社の赤字など)がある場合は、単に入管の指定された申請書と役所の証明書をそのまま出してはいけません 。 それらのマイナス要因を法的にカバーし、審査官の疑念を先回りで完全に解消するための「給料減少に関する合理的理由書(または生計維持計画書)」を自作して添付することが、最大の対策となります 。

プロの行政書士が実務で作成している、説得力のある理由書の構成ポイントは以下の3つです。

1. 減給や無職期間が生じた「客観的かつ合理的な理由」の説明

お給料が下がった背景を、嘘をつかずに正直に説明します。
「勤務先の会社が、業績回復のための構造改革(先行投資など)を行っており、一時的に全社一律で役員報酬や給与の調整が行われたため」
「前の会社が会社都合で退職となり、次の職場に転職するまでの間に〇ヶ月間の求職期間が発生したため」
といった理由を、離職票のコピーや会社の組織変更通知書などの客観的な証拠を添えて記載します 。

2. 現在の収入でも「十分に自立して日本で暮らしていける」生計の立証

お給料が下がったとしても、生活に困っていないことを具体的な数字(書面)で入管に示します 。 例えば、
「現在は家賃がかからない実家(または配偶者の実家)に同居しているため、月々の固定費が非常に少ない」
「世帯を同じくする同居の親族に十分な資産・技能があり、世帯全体としての生計の安定性は完全に保たれている」
といった事実を、預貯金通帳のすべてのページの写しや、同居家族の在職証明書を添付して証明します 。

3. 今後の会社の業績回復、または自身の「キャリア・給与アップの見通し」

入管庁が最も心配しているのは、「今後もずっと低い給料のままで、生活が破綻するのではないか」という未来のリスクです 。
そのため、「会社側が作成した、今後の売上予測や新規取引先との契約書を含めた『詳細な事業計画書(今後3〜5年分の収支見通し)』」や、あなたの「昇給計画書(来期からの給与改定通知書)」などを会社に用意してもらい添付します 。
現在の低収入はあくまで一時的なものであり、来期以降は完全に元の水準(あるいはそれ以上)に回復する確実な見込みがある」というストーリーを論理的に組み立てることが、審査官に「更新を許可して大丈夫だ」と判断させる最大の鍵となります 。

お給料が下がっている状態でのビザ更新は、通常の更新よりも審査官の目が厳しくなります 。
外国人の方が一人で行った際、あるいは会社の人事担当者が入管業務に慣れていない場合、実務上で非常に発生しやすい致命的な失敗パターンをお伝えします。

失敗例①:ハローワークの活動記録や失業手当のデータを出さない

転職活動中の無職期間があった場合、ただ「仕事を探していました」と言葉で言うだけでは、審査官は信じてくれません。

ハローワークに通っていた際の発行書類(雇用保険受給資格者証の写し)や求職活動のスタンプが押された実績記録、あるいは失業手当を正しく受給していた通帳の記録などを客観的な証拠として提出しなければ、「コソコソと隠れて、ビザの範囲外の居酒屋や工場などで資格外活動違反(不法就労)のアルバイトをして生活費を稼いでいたのではないか」と強く疑われ、一発不許可の原因を作ってしまいます。

失敗例②:必要書類の「有効期限(3ヶ月)」の管理ミス

ビザの更新手続きのために区役所や税務署から取り寄せなければならない「住民票」「課税・納税証明書」などの日本の公的書類には、すべて「発行から3ヶ月以内」という有効期限があります 。
会社に給与証明書を作ってもらうのに時間がかかったり、理由書の文章作成に迷っている間に、せっかく先に集めた役所の書類の期限が切れてしまい、また一から役所へ取り直しに行くという失敗例が多く聞かれます。すべての必要書類をリストアップし、最短のスケジュールで一気に集めきる段取りの良さが求められます 。

失敗例③:過去の申請書類のデータとの「職務内容」の矛盾

今回のお給料の減少に伴い、会社側が「ビザを通りやすくするために、書類の上だけ職種を『一般事務』から『高度な海外取引マネージャー』に書き換えて、専門性が高い仕事をしているように見せかけよう」と、実態と異なる職務内容説明書を作ってしまうケースがあります。

これは「虚偽の申請(ウソの書類)」とみなされ、最も危険な行為です。入管はあなたが過去に提出したすべての申請データを保管しており、今回の内容と真横に並べて見比べます。過去の職務内容と不自然な矛盾が見つかり、それが虚偽となると、更新不許可になるだけでなく、現在の就労ビザ自体の取り消しや日本からの退去強制(強制送還)に直結する大損害に繋がります。

会社の業績悪化やお給料の減少は、あなた自身の能力や努力のせいではなく、完全に不可抗力による災難です。だからこそ、「外国人だから日本を離れなければならないのではないか」と一人で抱え込んで悩んだり、諦めてしまう必要はまったくありません 。日本の入管法や審査実務には、真面目に日本で暮らしている外国人の方の生活とキャリアを正しく守るための、様々な救済措置や考慮のルールが用意されています

しかし、お給料が下がっている状態での更新手続き(正当な理由の立証や、会社側の事業計画書を交えた今後の生計維持計画の作成)は、専門的な法律の知識が必要であり、どのような書類をどう組み合わせて入管に説明すれば審査官を納得させられるか、一人で判断するのは極めて困難です 。

「前年より年収が50万円も下がってしまったけれど、私の状況でビザは更新できる?」
「会社が赤字経営らしいけれど、不許可にならないための事業計画書の作り方を知りたい」
「次回の更新で、1年ビザではなく、確実に『3年・5年』の長期ビザをキープしたい」

どのような小さな悩みや不安であっても、大切なビザの期限が来てしまう前に、すぐに国際業務専門の当事務所(WILL行政書士事務所)にご相談ください。

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この記事を書いた人

WILL行政書士事務所 代表
石川県金沢市出身・在住の申請取次行政書士。
元技能実習生監理団体の職員で、自身も国際結婚を経験。
日本で生活する外国人の方をサポートします!

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