【メディア掲載】『法で結ぶ未来ドットコム』にて当事務所のインタビュー記事が掲載されました

【国際認知】日本人男性が日本に住むタイ人女性の子(非嫡出子)を認知する手続きと必要書類を徹底解説

タイ人女性との間に授かった、かけがえのないお子様。しかし、お二人がまだ法的な婚姻関係にない状態で生まれた場合、法律上、お子様は「非嫡出子(ひちゃくしゅつし)」という立場になります。愛する我が子を自分の子どもとして法的に認め、父子関係を成立させるための重要な手続きが「認知」です。

日本人同士であれば、市区町村役場に認知届を提出するだけで比較的簡単に完了します。しかし、お相手がタイ人女性であり、お子様がタイ国籍を持っている場合(または二重国籍となる場合)、手続きは一気に複雑さを増します。なぜなら、日本の法律だけでなく、タイの法律も複雑に絡み合ってくるからです。

「自分の子どもなのに、認知するためにタイの裁判所の判決が必要だと言われた」
「子どもがまだ1歳で言葉も話せないのに、どうやって同意を得ればいいの?」
「昔はもっと簡単に認知できたと聞いたけれど、今は違うの?」

このような戸惑いや不安を抱え、当事務所に相談に来られる日本人男性は多くいらっしゃいます。国際結婚や国際認知の手続きは、少しの法律知識の欠如や書類の不備で、手続きが数ヶ月から年単位でストップしてしまうことも珍しくありません。

この記事では、国際業務を専門とするWILL行政書士事務所が、日本人男性が日本に住むタイ人女性との間に生まれた非嫡出子を認知するための成立要件や必要書類、注意すべきポイントを、最新の法令や実務の動向に基づいてわかりやすく解説します。お子様との大切な絆を法的に結ぶための一助となれば幸いです。

目次

日本人男性がタイ人女性の子を認知するための基本ルール

国際的な認知手続きを行う際、まず立ちはだかるのが「どちらの国の法律を適用するのか」という問題です。これを定めるのが、日本の「法の適用に関する通則法(以下、法通則)」という法律です。

日本法での認知が可能

法通則第29条では、子の保護を第一に考え、広く認知が認められるよう規定されています。具体的には、「認知当時の認知する者(父)の本国法」または「認知当時の子(タイ人)の本国法」のいずれかによればよいとされています。 つまり、父親が日本人である以上、日本の民法に基づいて認知の手続きを行うことが可能です。手続きの方式としても、法通則第34条により、父親が日本の市区町村役場へ認知届を提出すれば、日本国内での認知手続きは成立することになります。

「保護要件」という大きな壁

ここまでは簡単なように思えますが、法通則には続きがあります。日本法に基づいて認知を行う場合であっても、「子の本国法(この場合はタイ法)が、その子または第三者の承諾や同意を要件としているときは、その要件を満たさなければならない」と定められているのです。 これを「保護要件」と呼びます。勝手に認知されることで子どもに不利益が生じないよう、子どもの母国の法律のルールも尊重しなさい、という意味です。したがって、日本人男性がタイ人のお子様を認知するには、タイの法律が認知についてどのような条件を定めているかを正確に理解し、それをクリアしなければなりません。

タイの法律(民商法)が定める認知の要件とは?

タイの法律(タイ国民商法)では、婚姻外で生まれた子どもは、原則として「母親のみの法律上の子」とみなされます(第1546条)。父親との間に法的な親子関係を成立させるためには、特別な手続きが必要です。

認知を成立させるための3つの方法

タイ国民商法第1547条によると、婚姻外で生まれた子が法律上の子となる(認知される)ためには、以下の3つのいずれかの方法をとる必要があります。

  1. その後、両親が法的に婚姻する
  2. 父親からの申請に基づく登録を行う
  3. 子であるとの裁判所の判決を得る

今回のケースのように、ご結婚はせずに(あるいは事情があってすぐには結婚できずに)認知だけを先行して行う場合は、「2. 父親からの申請に基づく登録」または「3. 裁判所の判決」のいずれかを選択することになります。

母親と子どもの「同意」が必須

ここで極めて重要になるのが、タイ国民商法第1548条の規定です。 父親が役所で認知の登録を申請する場合、「子ども」および「子どもの母親」の両方の同意を得なければならないと明確に規定されています。母親の同意はもちろんのこと、驚かれるかもしれませんが、認知されるお子様自身の同意も法律上求められているのです。

子どもが幼少(1歳など)の場合はどうなるのか?

ここで大きな問題が生じます。「子どもが1歳や2歳の場合、どうやって同意をするのか?」という疑問です。 乳幼児は事理を弁識する能力(物事を正しく判断する能力)がないため、自らの意思で「同意」をすることができません。タイ国民商法では、このように「子が幼少であり同意ができない場合」は、「同意しなかった場合」または「同意できなかった場合」に該当すると解釈されています。 その結果どうなるかというと、「子であるとの登録(認知)は、タイの裁判所の判決によらなければならない」とされているのです。

つまり、日本国内で1歳のタイ人のお子様を認知しようとした場合、日本の役所に認知届を出すだけでは受理されず、「タイの裁判所の許可判決書」を提出しなければならないという、非常に高いハードルが待ち受けていることになります。

過去の運用と現在の運用の違い(要注意ポイント)

「知人の日本人男性は、数年前にタイ人女性の子どもを認知したとき、裁判所の判決なんて求められなかったと言っている」 インターネットの古い情報や、過去に手続きをされた方からこのような話を聞いて、混乱される方もいらっしゃるかもしれません。実は、タイ人の認知に関する日本の戸籍実務の取り扱いは、過去に大きな変更がありました。

昔は「出生証明書」だけで受理されていた

以前(昭和40年代から平成の中頃まで)は、タイの「出生証明書」の父親欄に日本人男性の名前が記載されていれば、それをもって「事実上の父子関係が登録された=認知された」と好意的に解釈され、特別な判決書などがなくても日本の役所で認知届が受理されるケースが多くありました。

平成20年・22年の通達による厳格化

しかし、タイの法律を厳密に解釈した結果、「出生証明書の父親欄への記載は単なる事実の登録にすぎず、タイ国民商法第1547条が求める法的な認知の要件(父からの申請に基づく登録など)を満たしているわけではない」ということが明確になりました。 これを受け、平成20年や平成22年に法務省から新たな通達が出されました。それ以降は、出生証明書だけを認知の証明として取り扱うことはできなくなり、タイの法律が要求する「母および子の同意」、それが得られない(子が幼少である)場合は「タイの裁判所の許可判決書」が厳格に求められるようになったのです。

このルール変更を知らずに、昔の感覚で役所に認知届を持っていき、受理を拒否されて困惑している方が多くいらっしゃるのではないかと思います。幼少期までのお子様の認知には、最新の実務運用に基づいた正確な準備が不可欠です。

日本の役所へ提出する届出書類リスト

タイの裁判所の許可判決書が必要になるなど、手続きが複雑であることをご理解いただいた上で、実際に日本の市区町村役場に提出すべき書類を確認していきましょう。

  1. 認知届
    日本の役所の窓口で入手できる所定の用紙です。父親となる日本人男性が記入します。
  2. 母親の独身証明書(原本と日本語訳文)
    お子様が生まれた当時、母親であるタイ人女性が誰とも婚姻していなかった(他の男性の非嫡出子や嫡出子ではない)ことを証明するために必要です。タイ本国の役場または在日タイ大使館等で取得します。
  3. 国籍証明としての旅券(パスポート)の写し(母親と子ども)
    母親とお子様がタイ国籍であることを証明するための基本書類です。
  4. 住民票の写し(母親と子ども)
    日本国内での居住実態や住所を証明するために必要です。
  5. 子の出生届記載事項証明書
    お子様が日本国内で生まれた場合、日本の役所に提出した出生届の内容を証明する書類です。出生地を管轄する役所や法務局で取得します。
  6. タイ国の裁判所の許可判決書(原本と日本語訳文)
    前述の通り、お子様が幼少(おおむね15歳未満)で自ら同意できない場合に必須となる最も重要な書類です。タイ本国の家庭裁判所で手続きを行い、許可判決を得る必要があります。この判決が確定したことを証する確定証明書もあわせて必要になるのが一般的です。
  7. (場合によって)タイ国の父からの申請に基づく登録証
    お子様が十分に成長しており(通常15歳以上)、お子様自身と母親がタイの登録官の面前で同意を与えた場合には、裁判所の判決ではなく、この「登録証」と翻訳文を提出することで手続きが可能な場合があります。

※外国語で書かれた書類(独身証明書、判決書、登録証など)には、すべて正確な「日本語の翻訳文」を添付する必要があります。翻訳者の署名も求められます。

タイの裁判手続きをどう乗り越えるか?

書類リストの中で、最も取得が困難なのが「タイ国の裁判所の許可判決書」です。日本に住みながら、タイの裁判所の判決を得るにはどうすればよいのでしょうか。

タイの弁護士との連携が必須

日本の行政書士や日本の弁護士は、タイの裁判所で代理人として活動することはできません。したがって、タイ現地の信頼できる弁護士(弁護士事務所)に依頼し、タイの家庭裁判所に認知の申し立てを行ってもらう必要があります。

DNA鑑定や事実関係の調査

裁判所は簡単に許可を出してくれるわけではありません。本当にその日本人男性がお子様の父親であるのか、科学的な証拠(DNA鑑定書など)の提出が求められることがほとんどです。また、日本人男性からタイ人女性への送金記録、一緒に写っている写真、妊娠中の経緯など、事実関係を証明する様々な資料をタイ語に翻訳して現地の裁判所に提出しなければなりません。

時間と費用の余裕を持つこと

タイでの裁判手続きには、申し立てから判決が確定するまで、数ヶ月から半年以上の期間を要することが一般的です。また、タイの弁護士費用、書類の翻訳・認証費用、DNA鑑定費用など、経済的な負担も決して少なくありません。「すぐに認知できる」と焦らず、計画的に進めることが大切です。

書類作成・提出時の注意点とよくあるトラブル

外国人の氏名や生年月日の表記ルール

日本の役所に提出する認知届や翻訳文では、タイ人の方の氏名は「氏(ファミリーネーム)、名(ファーストネーム)」の順序でカタカナで正確に記載する必要があります。また、タイでは仏暦が使われることが多いですが、日本の役所に提出する書類の生年月日は「西暦」に変換して記載しなければなりません。こうした細かな表記のミスが、書類受理の遅れにつながることがあります。

オーバーステイなど在留資格(ビザ)の問題が絡む場合

過去の事例で見られるケースの中には、「タイ人女性が不法滞在(オーバーステイ)状態である」という複雑なご事情を抱えている場合もあります。認知手続きそのものは、母親の在留資格の有無にかかわらず行うことができます。しかし、認知後に「日本人の配偶者等(または定住者)」といった正規の在留資格を取得(在留特別許可)するためには、入国管理局への非常に慎重かつ専門的なアプローチが必要になります。役所への認知届と、入国管理局へのビザ申請は連動して考えるべき重要なテーマです。

翻訳の正確性と公証

タイ語から日本語への翻訳は、単なる直訳ではなく、日本の戸籍実務に即した正確な法律用語を用いて行われるべきです。翻訳が不適切であるために、役所の担当者が内容を理解できず、追加の説明や再提出を求められるトラブルが発生しています。

複雑な国際認知手続きは専門家にお任せください

ここまで解説してきた通り、日本人男性が日本に住むタイ人女性の非嫡出子を認知する手続きは、両国の法律の深い理解、タイ現地の裁判手続きとの連携、そして日本の役所との綿密な調整が必要となる非常に難易度の高い手続きです。

少しでも不安や負担を感じられたら、専門家にご相談されることをお勧めします。

WILL行政書士事務所は、国際結婚や国際認知、それに伴う在留資格(ビザ)申請について、お客様の現在の状況について丁寧にヒアリングを行い、ご家族が日本で安心して、堂々と幸せな生活を送れるよう、全力でサポートいたします。

ご相談者様それぞれの事情に寄り添い、専門家としての確かな知識と、人間味のある温かい対応で、最善の解決策をご提案させていただきます。 タイ人女性との間のお子様の認知手続きや在留資格(ビザ)に関するお悩みは、今すぐWILL行政書士事務所の無料相談・お問い合わせ窓口までご連絡ください。あなたの大切なご家族の未来を守るために、私たちが一緒に伴走いたします。

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この記事を書いた人

WILL行政書士事務所 代表
石川県金沢市出身・在住の申請取次行政書士。
元技能実習生監理団体の職員で、自身も国際結婚を経験。
日本で生活する外国人の方をサポートします!

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