【メディア掲載】『法で結ぶ未来ドットコム』にて当事務所のインタビュー記事が掲載されました

外国人学生をインターンシップとして受け入れるには|企業担当者が知っておきたい在留資格と手続き

「海外の大学に通う学生を、うちの会社でインターンシップとして受け入れたい」——グローバル採用に力を入れる企業から、こうした声が増えています。

ただ、外国人学生を受け入れるとなると、「そもそもどんな在留資格が必要なのか」「報酬を払う場合と払わない場合で手続きが違うと聞いたけれど本当か」「何人まで受け入れられるのか」など、疑問は尽きません。実は、外国の大学に在学中の学生を対象とするインターンシップには、日本の入管法(出入国管理及び難民認定法)上、明確なルールが定められています。

この記事では、海外の大学に在学中の外国人学生を、企業がインターンシップとして受け入れる場合の在留資格の考え方や必要な手続き、実務上の注意点を、採用担当者の方向けにわかりやすく解説します。

行政書士:中田

なお、すでに「留学」の在留資格で日本国内に在留している留学生を新卒として採用し、就労系の在留資格に変更する手続きについては、別記事<「留学」から「技術・人文知識・国際業務」ビザへ!失敗しない変更手続き・要件・注意点を専門家が徹底解説>で詳しく解説しています。日本在住の留学生の採用をお考えの方は、そちらもあわせてご覧ください。

目次

事例:海外大学の学生をインターンとして受け入れたい

当社では、外国の大学に在学中の学生に対してインターンシップとしての受入れを検討しています。インターンシップとして外国人学生を受け入れる場合、報酬を出す場合出さない場合とでは在留資格が異なると聞きました。外国人学生を受け入れるための手続について詳しく教えてください。
また、インターンシップの期間研修内容賃金学生の生活費税金保険など、外国人学生のインターンシップを雇用するうえでの注意点についても知りたいです。

このようなご相談は、グローバル展開を進める企業や、海外大学との産学連携を模索する企業から年々増えているようです。以下、ポイントを整理していきます。

ポイント①:報酬の有無と滞在期間で在留資格が変わる

海外の大学に在学中の学生をインターンシップとして受け入れる場合、報酬(給与)を支払うかどうか、そして滞在期間が90日を超えるかどうかによって、必要な在留資格が3つに分かれます。

条件在留資格主な手続き
報酬あり特定活動(告示9号)在留資格認定証明書交付申請
無報酬・滞在90日超文化活動在留資格認定証明書交付申請
無報酬・滞在90日以内短期滞在在外日本大使館・領事館で直接ビザ申請

ここでいう「報酬」とは、学生の労働の対価として支払われる金銭のことです。交通費・住居費・食費など、実費を補うための支給(実費弁済的なもの)は報酬に含まれません。一方、時間給や日給、日額単価に勤務日数を掛けて支払うような金銭は報酬に当たります。

特に注意したいのが、無報酬・滞在90日以内の「短期滞在」のケースです。この場合は在留資格認定証明書交付申請という制度が使えず、学生本人が在外の日本大使館・領事館へ直接ビザ申請する必要があります。受入企業側での事前手続きは発生しませんが、学生本人のスケジュールに委ねる部分が大きくなるため、渡航スケジュールの調整には余裕を持たせましょう。

ポイント②:「特定活動(告示9号)」の要件を理解する

報酬を支払ってインターンシップを実施する場合の在留資格「特定活動」は、入管法上の告示(特定活動告示)の第9号に基づくものです。この告示では、次のような活動が定められています。

  • 学位が授与される教育課程に在籍する外国の大学の学生であること(通信教育課程は対象外)
  • そのインターンシップが大学の教育課程の一部として位置づけられていること(単位認定の対象であることが重要な要素です)
  • 大学と受入企業(日本の公私の機関)との間で契約が結ばれていること
  • 受入企業から報酬を受けること
  • 活動期間は1年を超えない範囲で、かつ通算して大学の修業年限の2分の1を超えない範囲であること

つまり、4年制大学の学生であれば、最長でも通算2年間までしかインターンシップに従事できません。しかも一度の在留で認められる期間は最長1年で、それを超えて継続したい場合は、いったん帰国したうえで再度呼び寄せる必要があります。

また、「教育課程の一部」であることが要件のため、大学を休学してのインターンシップは対象外になる点にも注意が必要です。休学中に働いてもらう場合は、インターンシップではなく「技術・人文知識・国際業務」など、通常の就労系在留資格の取得を検討することになります。ただし在学中の学生は「大学を卒業した者」という在留資格該当性の要件を満たさないことが多く、現実的には難しいケースが大半です。

無報酬で滞在90日を超える場合は「文化活動」の在留資格が使えます。この場合も学生本人が就労するわけではないため報酬は発生しませんが、在留資格認定証明書交付申請自体は受入企業側で行うことができます。

ポイント③:ガイドラインに沿った受入体制を整える

以前は「特定活動(告示9号)」の運用をめぐって、労働力確保の手段として利用されるなど、適正とはいえない事例が問題視されていました。これを受けて、出入国在留管理庁は令和2年5月、「外国の大学の学生が行うインターンシップに係るガイドライン」を策定し、審査を厳格化しました。

このガイドラインでは、受入企業に次のような体制整備を求めています。

  • インターンシップ責任者の選任(大学との契約、実施計画の作成・評価、学生の生活支援、労働条件・安全衛生の管理、官署との連絡調整などを統括する立場)
  • インターンシップ指導員の選任(実施事業所に所属する常勤の役員・職員で、担当業務について1年以上の実務経験を有する方。責任者との兼任も可能)
  • 受入企業・役員・指導員等が、外国人の受入れに関して人権を著しく侵害する行為を行っていないこと
  • 受入企業・役員・責任者・指導員が、過去5年以内に出入国・労働に関する法令違反をしていないこと
  • 費用負担者・負担額を学生に明示し、合意していること
  • 実施状況・評価結果に関する報告書を作成し、終了後最低3年間保存すること

これらの要件は、在留資格認定証明書交付申請の際に提出する「説明書」を通じて確認されます。実務上は、この説明書の作成そのものが、社内の受入体制を整理する良い機会にもなります。

受け入れられる人数の目安

インターンシップ生の受入人数は、常勤職員数に応じて次のような目安が設けられています。この範囲内であれば、原則として適正な人数として扱われます。

  • 常勤職員301人以上:常勤職員数 × 20分の1
  • 常勤職員201〜300人:15人
  • 常勤職員101〜200人:10人
  • 常勤職員100人以下:5人(ただし常勤職員数を超えない範囲)

なお、常勤職員数には技能実習生は含まれません。また、すでに第1号技能実習生を受け入れている企業では、インターンシップ生と第1号技能実習生の合計が技能実習生の受入枠を超えるときは、技能実習制度の実施を阻害しないよう、指導体制やカリキュラムの整備状況を別途明らかにする必要があります。

手続きのステップ

それでは、実際に受入企業が行う手続きの流れを見ていきましょう。

ステップ1:在留資格の判定と受入体制の準備

まず、報酬の有無と滞在予定期間から、「特定活動」「文化活動」「短期滞在」のいずれに該当するかを確認します。あわせて、インターンシップ責任者・指導員の選任など、ガイドラインに沿った受入体制を整えます。

ステップ2:大学との契約締結

学生が在籍する外国の大学と、日本の受入企業との間でインターンシップに関する契約を締結します。契約には、インターンシップの目的、単位科目・取得単位数、実施期間、報酬と支払方法、控除費目、保険内容と負担者、旅費負担者、大学への報告方法、契約解除の条件などを盛り込みます(報酬・控除に関する事項は、別途締結する雇用契約書に委ねることも可能です)。

ステップ3:申請書類の準備

在留資格認定証明書交付申請にあたっては、主に次のような書類が必要です。

  • 在留資格認定証明書交付申請書
  • 学生本人の写真、返信用封筒
  • 学生の在学証明書
  • 大学と受入企業の間のインターンシップに係る契約書の写し
  • 大学からのインターンシップ実施に係る承認書・推薦状
  • 単位取得等、教育課程の一部として実施されることを証明する資料(実施計画書等)
  • 日本での活動内容・期間・報酬等の待遇を記載した資料
  • 過去のインターンシップでの在留歴を明らかにする資料(初めての場合はその旨を記載した書面)
  • 学生が在籍する大学の修業年限を明らかにする資料
  • ガイドラインに規定する各項目についての説明書

これらの中でも、大学との契約書と説明書は、ガイドラインが求める実施体制の要件を具体的に記載する重要な書類です。記載漏れがあると審査が長引く原因になるため、余裕を持って準備しましょう。

ステップ4:在留資格認定証明書交付申請

申請人は学生本人ですが、実務上は受入企業の職員や、届出をした弁護士・行政書士が代理・取次を行うことができます。申請先は、受入企業の所在地を管轄する地方出入国在留管理局です。

審査期間は案件によって幅がありますが、一般的な目安として1〜3か月程度を見込んでおくと安心です。海外大学の夏季休暇に合わせて受け入れる場合は、逆算して早めに準備を始めることをおすすめします。

ステップ5:ビザ申請・入国

在留資格認定証明書が交付されたら、学生本人がそれを在外の日本大使館・領事館に提出してビザ(査証)の発給を受け、来日します。無報酬・滞在90日以内の「短期滞在」の場合は、この在留資格認定証明書の手続きを経ず、学生本人が直接大使館・領事館でビザ申請を行うことになります。

ステップ6:受入れ・実施状況の記録

インターンシップ開始後は、受入企業が外国人雇用状況の届出(後述)などの対応を行うとともに、実施状況・評価結果に関する報告書を作成し、終了後も一定期間(最低3年間)保存しておく必要があります。

実務上の注意点

保険について

インターンシップ生は、実際の業務内容によって「労働者」に該当するかどうかが判断されます。使用者からの指揮命令を受けて業務に従事していると評価されない場合には労働基準法上の労働者に該当せず、労災保険の対象にもなりません。
そのため、来日前に海外旅行保険やインターンシップ向けの総合保険への加入を、大学との契約や受入企業とのルールとして定めておくことが望ましいでしょう。健康保険についても、労働時間・日数が正社員の4分の3に満たない場合は加入対象とならないのが一般的です。

源泉徴収・税金について

報酬を支払う場合は、給与として所得税の源泉徴収の対象になります。学生が「非居住者」に該当する場合は、原則として20.42%(所得税20%+復興特別所得税0.42%)の税率で源泉徴収を行う源泉分離課税となり、年末調整の対象にはなりません。ただし、学生の出身国と日本との間に租税条約が締結されている場合には、「租税条約に関する届出書」を提出することで税率が軽減・免除されることがあります。対象国かどうかは事前に確認しておきましょう。一方、無報酬の「文化活動」「短期滞在」であれば、そもそも課税対象となる報酬が発生しません。

仲介事業者を利用する場合

学生の募集や大学とのマッチングを仲介事業者に依頼する場合、その仲介事業者が職業紹介の許可を得ているか、外国人の人権を侵害するような行為を行っていないかを確認する必要があります。また、仲介事業者に支払った費用の全部または一部を、学生本人に転嫁するような取扱いは認められません。

労働関係法令・外国人雇用状況届出

インターンシップ生が実質的に受入企業の指揮命令下で業務に従事し、使用従属関係が認められる場合には、労働基準法や最低賃金法などの労働関係法令が適用されます。該当するかどうか判断に迷う場合は、事前に管轄の労働基準監督署に確認しておくと安心です。

また、外国人を雇用する事業主には、雇入れ・離職の際にハローワークへ届け出る義務があります(外国人雇用状況の届出)。インターンシップ生が雇用と評価される場合は、この届出の対象となる可能性があるため、あわせて確認しておきましょう。

まとめ

海外の大学に在学中の外国人学生をインターンシップとして受け入れる際は、以下のポイントを押さえておきましょう。

  • 報酬の有無と滞在期間(90日を境)で、在留資格は「特定活動(告示9号)」「文化活動」「短期滞在」の3つに分かれる
  • 「特定活動」は、大学の教育課程の一部(単位認定対象)であることが必須要件。休学中のインターンシップは対象外
  • 出入国在留管理庁のガイドラインに沿って、インターンシップ責任者・指導員の選任や、常勤職員数に応じた受入人数の目安を守った受入体制を整える必要がある
  • 在留資格認定証明書交付申請には1〜3か月程度の審査期間を見込み、大学との契約書・説明書は特に丁寧に準備する
  • 保険・源泉徴収・労働関係法令の適用可否は、業務の実態に応じて個別に判断が必要

制度自体は明確に定められているものの、実際の申請では大学との契約内容や実施計画の記載レベルが審査の可否を左右します。受入れを検討される際は、早めに専門家へご相談いただくことをおすすめします。

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参考法令等

  • 出入国管理及び難民認定法第7条の2、別表第1の3、別表第1の5
  • 出入国管理及び難民認定法施行規則第6条の2、別表第2、別表第3
  • 出入国管理及び難民認定法第7条第1項第2号の規定に基づき同法別表第1の5の表の下欄に掲げる活動を定める件(平成2年法務省告示第131号)第9号

参考文献・出典

  • 出入国在留管理庁「インターンシップをご希望のみなさまへ」(https://www.moj.go.jp/isa/)
  • 出入国在留管理庁「外国の大学の学生が行うインターンシップに係るガイドライン」(令和2年5月)
  • 出入国在留管理庁「在留資格『特定活動』(インターンシップ・サマージョブ・国際文化交流)」(https://www.moj.go.jp/isa/applications/status/designatedactivities03.html)
  • 国税庁タックスアンサーNo.2884「非居住者等に対する源泉徴収」
  • 厚生労働省「外国人雇用状況の届出について」

※本記事の内容は執筆時点(2026年9月)の情報に基づいています。在留資格・入管関連の制度は改正が頻繁に行われるため、実際の申請にあたっては最新の公式情報をご確認いただくか、専門家にご相談ください。

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この記事を書いた人

WILL行政書士事務所 代表
石川県金沢市出身・在住の申請取次行政書士。
元技能実習生監理団体の職員で、自身も国際結婚を経験。
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