外国人の転職マニュアル!ビザ(在留資格)の手続きで失敗しないための3つのポイントとよくあるトラブル対処法

日本で働く外国人の皆さん、あるいは外国人を雇用しようとお考えの企業の採用担当者の皆様、こんにちは。WILL行政書士事務所です。

日本での生活に慣れ、さらに自分のキャリアをステップアップさせたい、あるいはより良い労働環境を求めて「転職」を考えることは、とても自然で素晴らしいことです。しかし、外国人の転職において必ずついて回るのが「ビザ(在留資格)」に関する不安ではないでしょうか。

「今の会社を辞めて新しい会社に移る場合、入管でどんな手続きをすればいいの?」
「職種が変わるけれど、今のビザのままで働けるのかな?」
「前の会社とトラブルになって退職証明書がもらえない…どうしよう」

このようなお悩みを抱えていませんか?外国人の転職は、日本人と同じようにただ会社を変われば終わり、というわけにはいきません。在留資格に関する手続きを怠ると、最悪の場合「不法就労」となってしまったり、せっかくの在留資格が取り消されてしまったりする恐れがあります。

そこでこの記事では、国際業務を専門とする行政書士が、外国人の転職時におけるビザ(在留資格)の手続き方法や、実務でよくあるトラブルへの具体的な対処法について、最新の法令に基づいてわかりやすく解説します。 この記事を読めば、あなたが今どの手続きをすべきかが明確になり、安心して新しい職場での一歩を踏み出せるはずです。ぜひ最後までお読みいただき、スムーズな転職活動の参考にしてください。

本記事は、就労ビザとして代表的な在留資格である「技術・人文知識・国際業務」で就労しているケースでのお話とします。在留資格によっては手続きが全く異なる場合があるため、不安がある方は専門家に相談されることをお勧めします。

目次

外国人が転職をする際、入管(出入国在留管理局)で行うべき手続きは、主に以下の3つのいずれかになります

  1. 在留資格変更許可申請
  2. 就労資格証明書交付申請
  3. 在留期間更新許可申請

これらの中でどれを選ぶべきかは、「転職後の職種(仕事内容)」が前職と同じかどうか、そして「現在の在留期限(ビザの有効期限)」がいつまで残っているか、という2つのポイントによって決まります。ご自身の状況と照らし合わせながら、以下で詳しく見ていきましょう。

転職後の会社で担当する業務が、前の会社で担当していた業務と異なる場合です。 このケースでは、「在留資格変更許可申請」を行う必要があります

在留資格変更許可申請が必要なケースとは?

例えば、前の会社では貿易会社で翻訳や通訳の仕事をしており「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を持っていた人が、転職後の会社では取締役部長として会社の経営や管理を行うことになったとします。また、IT関連会社でコンピューターソフトの開発業務を行っていた人が、経営・管理の業務に移るようなケースも考えられます

このような場合、日本に滞在する目的そのもの(業務内容)が大きく変わるため、現在の「技術・人文知識・国際業務」から「経営・管理」へ、在留資格を変更する手続きが必要です

注意すべきポイント:期限に関わらず早めの相談・申請を

もし職種が変わる転職をする場合は、現在の在留期限がまだ先であっても(切迫していなくても)、在留の目的自体が変更になるため、なるべく早く変更許可申請を行ってください

注意点として、「今のビザのままで新しい仕事ができるのかどうか(技術・人文知識・国際業務のままでよいのか、経営・管理への変更が必要なのか)」の判断は、非常に難しいケースがあります。実務上、以下のような項目を詳細かつ総合的に考察しなければ、容易に判断できないことが多いためです

  • 外国人本人の学歴やこれまでの職歴
  • 新しく勤務する会社(転職先)の事業内容や事業規模
  • 実際に担当する具体的な業務内容

自己判断で「変更しなくても大丈夫だろう」と働き始めてしまうと、意図せず資格外活動(不法就労)になってしまうリスクがあります。少しでも不安がある場合は、できるだけ早い時期に入国管理局に相談するか、申請取次資格を持ち専門知識を有する行政書士・弁護士等に相談することを強くお勧めします。

次に、転職前後で仕事内容が同じ場合(同業他社への転職など)について解説します。 この場合は、現在の「在留期限(ビザの有効期限)」がどのくらい残っているかによって、お勧めする手続きが異なります

パターンA:在留期限まで余裕がある(おおむね3ヶ月以上)場合

転職時点で在留期限まであと1年以上あるなど、期限が切迫していないケースです。 この場合、「就労資格証明書交付申請」を行うことをお勧めします。

就労資格証明書とは?メリットについて
就労資格証明書とは、「この外国人は、新しい転職先の会社で適法に就労できる」ということを入国管理局が証明してくれる文書のことです。 実は、職種が変わらない転職の場合、この「就労資格証明書交付申請」を行うことは法的な義務ではありません。そのため、手続きをしなくてもすぐに罰則があるわけではありません。

義務ではない手続きであるにもかかわらず、なぜ専門家としてこの手続きをお勧めするのでしょうか?それは、以下の大きなメリットがあるからです。

  1. 適法に就労できることの証明になり安心できる
    就労資格証明書を取得すれば、外国人ご本人も、雇う側の雇用主も「本当にこのビザで働いていいのか」という不安を抱えることなく、安心して働く(働かせる)ことができます。
  2. 次回のビザ更新が圧倒的にスムーズになる
    就労資格証明書を取得した状態でそのまま同じ会社で就労を続ければ、次回の「在留期間更新許可申請」の際に、転職時に取得しなかった場合と比べて提出する立証資料が少なくなります。結果として、在留期間の更新が容易になるという大きなメリットがあります。

逆に、これを取得せずに次回の更新時期を迎えた場合、その更新申請のタイミングで「そもそも転職先での仕事が、今の在留資格に合っていたのか」という厳格な審査が行われます。もしそこで「適合していない」と判断されてしまうと、ビザの更新が不許可になってしまうという取り返しのつかないリスクがあるのです。

申請に必要な主な書類

就労資格証明書交付申請には、実務上以下のような書類が必要です

  • 就労資格証明書交付申請書(1通)
  • 旅券(パスポート)および在留カードの提示
  • 新しい雇用先の概要を明らかにする文書
    (前年分給与所得の源泉徴収票などの法定調書合計表の写し、ホームページやパンフレット等の案内書、登記事項証明書、直近の決算書の写しなど)
  • 申請人の履歴書(1通)
  • 新しい雇用先での具体的な活動の内容、期間、地位、及び報酬を証明する文書
    (雇用契約書、辞令、採用通知書の写しなど)
  • これまでの活動の内容を証明する文書(退職証明書)
  • 住民税の課税(又は非課税)証明書及び納税証明書
    (1年分の総所得額及び納税状況が記載されたもの)

※転職先の企業が上場企業などの特定のカテゴリー(カテゴリー1やカテゴリー2など)に該当する場合は、上記必要書類の一部が省略されることがあります。また、審査の過程で追加資料を求められることもあります

パターンB:在留期限が切迫している(おおむね3ヶ月未満)場合

転職の時点で、在留期間の満了日が3ヶ月を切っているようなケースです。 在留期間更新許可申請は、在留期間の満了日のおおむね3ヶ月前から入管で受理されます。そのため、この場合は就労資格証明書の手続きを挟むのではなく、直接「在留期間更新許可申請」を行います

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ただし、単なる更新ではなく「転職を伴う更新」となるため、通常の(転職がない場合の)更新書類に加えて、転職に関して新しい会社等に係る資料(前年分の職員の給与所得の源泉徴収票などの法定調書合計表など)を併せて提出する必要があります

外国人の転職事例では、前の会社とうまくいかなかったり、税金の手続きが漏れていたりと、予期せぬトラブルが起こりがちです。ここでは、現場でよくある3つのトラブル事例とその対処法を解説します。

トラブル①:前の会社から「退職証明書」がもらえない

転職に伴う各種手続き(在留資格変更許可申請、就労資格証明書交付申請、在留期間更新許可申請)においては、原則として前の会社が発行した「退職証明書」が必要になります。入管は退職証明書に記載された内容によって、退職に関する事実を確認します。 しかし、「円満な退職ではなかったため会社が書類を出してくれない」「前の会社が倒産してしまい退職証明書が発行されない」といった理由で、書類が手に入らないことがあります

【対処法】
このような場合でも諦める必要はありません。別の方法によって、退職した会社等の名称、所在場所、電話番号、就労内容、就労していた期間、退職日時、就労していた期間に受け取った賃金、退職理由、そして「なぜ退職証明書が発行されないのか」という事情を明らかにする必要があります。 立証資料に明確な制限はありませんが、退職証明書を取得できない事情を明らかにした「顛末書(てんまつしょ)」などを作成して提出することも、有効な対処法の一つです。

トラブル②:「住民税の課税証明書・納税証明書」がない

ビザの手続きでは、原則として申請人の住民税の課税(又は非課税)証明書や納税証明書(1年間の総収入、課税額及び納税額が記載されたもの)が必要書類になります。 日本に在留して就労や事業経営で収入を得た外国人は、日本の法律に従って国税及び地方税(住民税など)を納める義務があります。日本では通常、会社が給料から税金を天引き(源泉徴収)して代わりに納める制度をとっていますが、課税対象になる収入があっても何らかの理由で源泉徴収されていないケースがあります。この場合、役所で証明書が発行されません。

【対処法】
もしこれらの書面がない場合は、ご自身で「確定申告」を行ってください。 源泉徴収されていない場合、外国人本人が申告して納税する必要があります。1月1日から12月31日までの1年間の収支について、翌年の2月16日から3月15日までの間に管轄の税務署へ申告書類を提出します。 この確定申告を行うことで、住民税の課税(又は非課税)証明書及び納税証明書を取得できるようになり、無事に入管へ提出することができます。

トラブル③:求職期間が長く、その間収入がなかった

前の会社を辞めたあと、なかなか次の仕事が見つからず、求職期間が長引いてしまうこともあるでしょう。この期間の過ごし方には、入管法上の重大な注意点があります。

【注意点:3ヶ月ルールに気をつける】
就労できる在留資格(入管法別表1)をもって在留する者が転職のため退職した場合でも、具体的に転職のための求職活動を続けているなどの正当な理由なく、継続して3ヶ月(「高度専門職2号」の場合は6ヶ月)以上、在留資格該当性ある就労活動を行わないで在留した場合は、在留資格を取り消されることがあります。 また、在留資格を取り消されなくとも、その後の在留期間更新許可申請や在留資格変更許可申請において、「素行状況不良」として狭義の相当性がないと判断され、不許可となる可能性があります。

【対処法】
このような事態を防ぐためには、実際に求職活動を行い、かつ「求職活動をしていたことを証明する書類」をしっかりと保存しておくことが重要です。
・ハローワークに登録して求人票を見て応募し、面接を受けた後に不採用通知が届いた記録
・求職期間中にハローワークに登録して雇用保険の給付を受領していた事実を証明する書類

こうした記録を提出することで、正当な理由があることや、許可なく違法な資格外活動を行っていなかったことの証拠になります。 なお、転職のために退職した後、3ヶ月以上母国に帰国して日本で何も求職活動をしない場合は、在留資格を取り消されたり、手続きにおいて不許可になったりするリスクが高まりますので十分に注意してください。

いかがでしたでしょうか。今回は、外国人が転職する際に気を付けるべきビザ(在留資格)の手続きや、よくあるトラブル事例とその対処法について解説しました。

転職先での仕事内容や、現在のビザの残り期間によって、あなたが行うべき手続きは「在留資格変更許可申請」「就労資格証明書交付申請」「在留期間更新許可申請」のいずれかに分かれます。 一見するとシンプルに見えるかもしれませんが、実際の審査では「転職先の仕事内容が本当に現在のビザに合致しているのか」の判断が非常に難しかったり、退職証明書が出ないなどの予期せぬトラブルが発生したりすることが多々あります。 ご自身の判断だけで安易に進めてしまうと、後になって「ビザの更新ができなかった」「知らずに不法就労になってしまった」という取り返しのつかない事態を招きかねません。

「自分のケースでは、どの手続きをすべきなのか自信がない」
「就労資格証明書を取得して、安心して次の職場で働きたい」
「前の会社とトラブルがあり、書類が揃わなくて困っている」

そんな不安やお悩みをお持ちの方は、ぜひ一度、国際業務専門の「WILL行政書士事務所」にご相談ください。 当事務所では、最新の法令や複雑な審査実務に精通した行政書士が、あなたのご状況を丁寧にヒアリングし、最も安全で確実な手続きをサポートいたします。

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この記事を書いた人

WILL行政書士事務所 代表
石川県金沢市出身・在住の申請取次行政書士。
元技能実習生監理団体の職員で、自身も国際結婚を経験。
日本で生活する外国人の方をサポートします!

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