本記事は2026年9月時点の情報をもとに作成しています。制度・手続きの細部は市区町村によって異なりますので、最終的には住所地の教育委員会等にご確認ください。
はじめに――「子どもを学校に通わせたい」その気持ちは、必ず実現できます
日本に暮らしていると、「うちの子も日本の小学校や中学校に通えるのだろうか」「在留資格がないと入学できないのでは?」と不安を感じている外国人の保護者の方が少なくありません。
結論から申し上げます。外国籍の子どもは、在留資格の有無にかかわらず、日本の公立小学校・中学校に通うことができます。 しかも、授業料と教科書は無償です。
この記事では、入学・編入の手続きの流れを、保護者の方が実際に動けるよう、わかりやすく解説します。
法的な根拠――なぜ外国籍の子どもが日本の学校に通えるのか
日本が批准している国際条約が根拠です
日本国憲法や教育基本法は、教育を受ける権利の主体を「国民」と定めていますが、外国人の教育を受ける権利も、国際条約によって保障されていると解釈されています。
特に重要なのは、次の2つの条約です。
①「経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約(社会権規約)」第13条第2項
すべての者に対して初等教育(小学校段階の教育)は義務的かつ無償のものとすること、中等教育(中学校段階)についても利用できる機会を与えることを、締約国の義務として定めています。
②「児童の権利に関する条約」第28条第1項
初等教育を義務的・無償のものとすること、中等教育についても必要に応じた財政的援助も含め機会を与えることを定めています。
日本はこれらの条約を批准しており、上記の規定を根拠に、文部科学省は「オーバーステイ等の在留資格がない外国籍の児童生徒も含め、日本の公立小・中学校への就学を希望する場合には受け入れる」という方針を明確にしています。
在留資格がなくても入学できる
「オーバーステイ(在留期限超過)の状態で子どもを学校に入れてもいいのか」と心配されている方もいらっしゃると思います。
文部科学省は、在留資格の有無にかかわらず就学を受け入れるよう全国の市区町村教育委員会に通知を出しています(平成24年7月5日付「外国人の子どもの就学機会の確保に当たっての留意点について」等)。各市区町村も、住居の賃貸借契約書や公共料金の請求書などを確認することで居住実態を認め、就学を認める取扱いをしているところが一般的です。
つまり、在留カードがなくても、住んでいることを示せる書類があれば入学手続きを進めることができます。
無償になるもの・費用がかかるもの
入学の前に、費用の面も確認しておきましょう。
| 項目 | 費用の扱い |
|---|---|
| 授業料 | 無償 |
| 教科書 | 無償(毎学年、国から一人一人に配布) |
| 給食費 | 保護者負担 |
| 補助教材(参考書など) | 保護者負担 |
| 学用品・修学旅行費など | 保護者負担 |
経済的に苦しい場合は「就学援助」が受けられます
学用品費・給食費・修学旅行費などについて、経済的な理由で就学が困難と認められた場合、市区町村の教育委員会から援助を受けることができます(就学援助制度)。外国籍の子どもも対象です。窓口は学校または市区町村の教育委員会です。案内が配布されないこともありますので、必要な方は積極的に申し出てください。
入学・編入手続きの流れ――3つのステップ
文部科学省が公表している「就学ガイドブック」をもとに、標準的な手続きの流れをご説明します。
ステップ① 市区町村の役所・教育委員会で申請する
まず、お住まいの市区町村の役所(市役所・区役所・町村役場)に行き、子どもを日本の公立小学校または中学校に入学させたい旨を伝えてください。
窓口で「外国人児童生徒入学申請書」(新入学の場合は「就学案内」)が渡されます。必要事項を記入して提出すると、後日または当日中に「外国人児童生徒入学許可書」が発行されます。
【在留資格がある場合に必要な書類の例】
- 保護者と子どもの在留カードまたは特別永住者証明書
【在留資格がない・在留カードを持っていない場合】
- 住んでいることを確認できる書類(賃貸借契約書、公共料金の請求書、郵便物など)で対応可能です。
なお、具体的に必要な書類は市区町村によって異なりますので、事前に窓口にご相談ください。
ステップ② 入学許可書を受け取り、指定校を確認する
発行された「外国人児童生徒入学許可書」で、指定された学校の名前と場所を確認してください。
ステップ③ 学校での面談・学年の決定
許可書と、母国の学校関係の書類(在籍証明書・成績証明書など)を持って、お子さんと一緒に指定された学校へ行きます。先生との面談を経て、就学が正式に決定されます。
面談では、お子さんの氏名・生年月日・来日年月日・国籍・母国での学習歴・日本語の学習経験・アレルギーや病歴・家族構成・緊急連絡先などについて話し合われます。
学年はどのように決まるか
原則は「年齢相当の学年」
日本の学校では、生まれた年に応じて学年が決まります。たとえば4月2日から翌年4月1日までに生まれた子どもが同じ学年になります。基本的には、お子さんの年齢に合った学年に編入されます。
日本語が不安な場合は「下の学年への編入」も可能
日本語でのコミュニケーションが難しいなどの事情がある場合、一時的に下の学年に編入する措置がとられることがあります。また、市区町村によっては日本語指導が充実した学校への変更が認められる場合もあります。ご希望がある場合は、学校や教育委員会に相談してみてください。
役立つ公式ツール――多言語「就学ガイドブック」
文部科学省は、外国人の保護者向けに「外国人児童生徒のための就学ガイドブック」を無料で公開しています。
対応言語:英語・韓国語(朝鮮語)・ベトナム語・フィリピノ語・中国語・ポルトガル語・スペイン語・ウクライナ語(各言語版に日本語も付記されています)
入学手続きの流れ、学校生活のルール(給食・清掃・部活動など)、国内転校の方法なども解説されており、来日直後の準備にとても役立ちます。
保護者の方が知っておくと安心なこと
就学案内が届かなくても、自分から相談しましょう
住民登録のない外国籍の家庭には、就学案内(学校への案内通知)が届かないことがあります。学校に通う年齢のお子さんがいる場合は、市区町村の教育委員会に自分から連絡することをお勧めします。
窓口で「在留資格がないと入学できない」と言われたら
ごくまれに、窓口の担当者が誤った対応をするケースがあります。在留資格がない場合でも就学を受け入れることは、文部科学省の通知で明確にされていますので、もしそのような対応を受けた場合は、再度相談するか、専門家(弁護士・行政書士等)にご相談ください。
中学校卒業後の高校進学についても早めに情報収集を
義務教育後の高校進学には入学者選抜があります。都道府県によっては外国人生徒のための特別定員枠を設けているところもありますので、中学入学の段階から情報収集しておくと安心です。
まとめ
外国籍のお子さんを日本の公立小・中学校に通わせることについて、ポイントをまとめます。
- 在留資格の有無を問わず、日本の公立小・中学校に無償で就学できる
- 授業料・教科書は無償。給食費や学用品費等は保護者負担(経済的に困難な場合は就学援助あり)
- 手続きは「①教育委員会で申請 → ②入学許可書の受領 → ③学校での面談・学年決定」の3ステップ
- 在留カードがなくても、居住を示せる書類(賃貸借契約書等)があれば手続きが可能
- 日本語が不安な場合は、下学年への編入や日本語指導校への変更も相談できる
- 多言語の「就学ガイドブック」(8言語)が文科省サイトで無料公開されている
お子さんが日本での学校生活を安心してスタートできるよう、まずはお住まいの市区町村の教育委員会にご相談ください。手続きや書類の準備に不安がある方は、専門家へのご相談もお気軽にどうぞ。

いかがでしたでしょうか。この記事が一人でも多くの方のお役に立てれば幸いです。
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参考法令等
- 日本国憲法 第26条
- 教育基本法 第4条第1項
- 経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約(昭和54年条約第6号)第13条第2項(a)(b)
- 児童の権利に関する条約(平成6年条約第2号)第28条第1項(a)(b)
- 学校教育法 第17条
- 就学困難な児童及び生徒に係る就学奨励についての国の援助に関する法律
参考文献・出典
- 文部科学省「外国人の子等の就学に関する手続について」CLARINET
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/shugaku/detail/1422256.htm - 文部科学省「外国人児童生徒のための就学ガイドブック」
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/clarinet/003/1320860.htm - 文部科学省「外国人の子供の就学の促進及び就学状況の把握等について(通知)」平成31年3月15日(30文科教第582号)
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/clarinet/004/1415154.htm - 文部科学省「外国人の子供の就学機会の確保に当たっての留意点について(通知)」平成24年7月5日(24文科初第388号)
- 文部科学省「外国人児童生徒等の就学の促進について(通知)」令和8年8月28日
https://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/2026/mext_00017.html - 文部科学省「日本語指導が必要な児童生徒の受入状況等に関する調査(令和7年度)」令和8年5月25日公表
- 文部科学省「外国人の子供の就学状況等調査(令和7年度)」令和8年5月公表

